「もう、アメリカ人になっちゃいます」?!・・・発言の真意

新井
メジャーでプレーするにあたって、不安なことはある?

鈴木
野球のほうは、ある程度同じことをやるので、レベルは違うかもしれないですけど、慣れてくるんじゃないかなって思います。環境が一番不安で、食事もそうですけど、移動の時差であったり、未経験のことばかりなので、最初の1年は、慣れるのに時間がかかるんじゃないかなと。でも行ってしまえば、なるようになると思います。

なりきることが大切なのかなと。
もう、アメリカ人になっちゃいます(笑)


新井
なっちゃいます?
なれるよ、君は(笑)君は進化するから、なれるよ。

プレーのことは期待しかないので、グラウンド外のことで、早く、うまく順応してくれればなと思いますね。

日本の代表として、カープの代表として、アメリカの野球界をギャフンと言わせてもらいたいっていう気持ちもあるし。

メジャー投手の攻略法「真っすぐと変化球を区別しない」方法もアリ

新井
大谷選手、同級生で仲いいと思うけど、二刀流でバッティングの方もすごかったし。ただ、メジャーでは、ピッチャーと野手の評価でいうと、野手の評価が少し落ちる印象があるよね。それを、誠也がガッと行って、覆してほしいなっていう気持ちがある。

鈴木
頑張ります。



新井
あんまり言っても、力んだらあれだけど(笑)メジャーで、対戦したいピッチャーは誰?

鈴木
いっぱいいるので・・・例えば、デグロム(サイ・ヤング賞2回獲得、メッツのエース右腕。33歳)。映像見てても、エグいっす。

新井
実際、打席に立って見てみたいよ、デグロム。

鈴木
オリンピックの時に、アメリカの代表でバズ(レイズの有望右腕。3月にひじを手術し5月にも復帰が見込まれる。22歳)っていう若い選手が投げてきたんですよ。

ピンポン玉投げてんじゃないかっていう球がきてて。日本でも速いピッチャーはいっぱいいるので、速さはそんなに速いと思わなかったんですけど、球筋がちょっと違う。力強いというか、なんか「バーン!」みたいな感じで来る。プロスペクト(期待の若手枠)に入っている選手で、昨シーズンもちょっと投げてましたけど、普通にレッドソックスの打線はバンバン打ってたんで・・・すげえなと思って。

2人
(笑)

新井
私もオリンピックの解説で、バズというピッチャーが若手有望株だって聞いていて。実際に見たときにすごいなと思って。スピードガンで150キロ以上投げるピッチャーは日本にもたくさんいるけど、真っすぐにしても変化球にしても、強く、ハードに動いてるなっていう印象。対戦してみて実際どうだった?

鈴木
もう真っすぐは本当に「バーン」って。

新井
ピストルみたいに「ピャーン」みたいな。

鈴木
そうですね。投げ方は楽に投げてくるんですけど、手から離れた瞬間、「バチーン!」みたいに来るんで。変化球は速い曲がりで、小っちゃくギュッて曲がる。日本だと大きくブワーって曲がるんですけど。

自分が、逆に速い真っすぐのつもりで待っていれば、前のポイントで当たるかな、という感じ。真っすぐと変化球を区別しなくても済むかなと。日本では、速い系の球と緩い球を区別して待つんですけど。

新井
球速の差が少ない分、ワンスイングで拾っていくと。

鈴木
そういう感覚で行くんですけど、球は強かったですね。
(バズとの対戦は2打席あり、真っすぐを打ってサードゴロと、四球)


いま、メジャーのピッチャーたちを相手になぜ活躍を続けているのか。その理由の一端を、渡米前の時点で明確に言語化していた鈴木誠也。記事の後編では、選手生命を脅かす大けがをきっかけに、人間的にも成長をとげたエピソードが語られます。


鈴木誠也
1994年8月18日生まれ、東京都出身。二松学舎大付属高から2012年ドラフト2位でカープに入団。NPB通算9年で902試合出場、937安打、182本塁打、562打点、打率.315。首位打者2回獲得。東京五輪では日本の4番として金メダル獲得に貢献。今季からMLBのシカゴ・カブスでプレー。

新井貴浩
1977年1月30日生まれ、広島県出身。広島工、駒大を経て1998年ドラフト6位でカープに入団。本塁打王・打点王1回、通算2203安打。2008年北京五輪では日本の4番を経験。FA移籍した阪神から復帰後、チームの精神的支柱として2016年からの3連覇に貢献。現在は、TBS野球解説者。