勝負を避けられ感じた「物足りなさ」 でも、菅野さんは違った
新井ずっと安定して高いレベルの成績を維持してきたけど、ここ1~2年、勝負を避けられる場面が増えだした。
鈴木
それもまあ、仕方ないことではあるので。でも、やっぱり純粋に勝負がしたいなとは、常に思っていました。巨人の菅野(智之)さんとかは、どんどん勝負してくれていたので、すごく楽しかったです。打ち取られても「次は打ちたいな」という思いで、本当に野球が楽しくできていたんですけど、各チームの状況もありますし、いろんなことが重なって勝負を避けられる場面が増えてきて。チームが勝つためには、出塁は必要なことなので、そこは気にしないようにしていました。
でも正直なところは、相手がどんどん真っ向勝負をしてくれて、それに勝ちたい、という気持ちがありました。
新井
逃げられたり、フォアボールでもいいやという配球の打席が重なると、「力と力の勝負がしたい」という気持ちが、心のどこかで出てきた?
鈴木
ありましたね。ここ何年かはずっと。

誠也が一軍で活躍し始めたころは、あまり菅野投手を打ってなかったでしょ。
鈴木
まったく・・・。2020年まで、ほぼ打ってないですね。ヒットはちょこちょこ打っていたんですけど、ホームランを打ったことがなくて。毎年、「菅野さんから絶対ホームラン打ってやろう」って思ってたんですけど、毎年菅野さんもレベルアップして、歯が立たなくて。昨シーズンは、菅野さんに故障があって万全じゃないのはわかっていたんですけど、ホームランを打ててうれしかったですね。
(菅野との対戦で、2020年以前は、わずか1本塁打。しかし、2021年は対戦5試合連続本塁打を放つなど、15打数7安打の成績を残した)
調子が悪くても結果を残す。東京五輪で見せた出塁へのこだわり
新井オリンピック前から、調子良くなかったでしょ。
鈴木
ぜんぜん良くなかったですね。
新井
でも、よく我慢しながらやったよね。例えば、3打数ノーヒットでも最終打席で見極めてフォアボール取ったり。自分からは、そう見えていた。結果、ホームランも打ったし。
鈴木
結果が出なかったので、苦しかったです。稲葉(篤紀)監督が最後まで使ってくれてたので、打てなくても、守備や、走塁、もちろん打席の中でもできることをやらないといけないなと思っていました。あとは周りの選手がカバーしてくれて、助けられたというか。改めて、野球の楽しさを感じたというか、「これがチームプレーだな」という助け合いが、野球には本当に必要だなと思って。代表からカープに戻ったら、若い選手たちを何とか助けられたらなと思いました。
新井
調子が良くない中でオリンピックに入ったけど、すごく冷静に「次のバッターへつなごう」と意識してやっているんだなと感じたね。