親子の探求心は無限「レシピ変えてみたから…はっ?」
研究室を自宅ガレージから「エア・ウォーターの森」に移した慎也さん。父親の恒久さんとの“無菌人工土壌”の開発は、試行錯誤の繰り返しだ。
肥料の配合レシピは今「Ver.33」に進化している。植物に必要な窒素・リン・カリウムの最適な割合は、複雑な数式からはじき出される。そして理想に近い土壌にするため、2人の探求心に限界はない。
「朝起きたらレシピ変えてみたから、って言われて…はっ?って」と息子で社長の慎也さん。
「料理も研究も手加減。でも、これだけは絶対!というものがある。それが分かるようにならないと疲れちゃうよ」と、北大名誉教授で父親の恒久さんは言う。
既成概念を打破『クリスタルグレイン』特許取得
この研究室で生まれた『クリスタルグレイン』は、天然鉱石の顆粒を主成分とした人工土壌(培地)だ。
有機物を含まないため、菌も虫も発生しない。必要な水の量を通常の5分の1以下に抑え、排水も不要。水耕では不可能だったニンジンやジャガイモなど根菜類も室内で栽培可能だ。
この技術で、慎也さんと恒久さん親子は特許を取得した。
2025年、京都大学発のベンチャーキャピタル「京都iCAP」から出資を受けた際、投資の担当だった森田諭さんはこう振り返る。
「土から変えてやるというのが、意欲的というか、チャレンジングで。こいつらタダモンじゃないな、と純粋に思いましたね」
製薬会社の社長や銀行の役員などで構成される投資の選考委員会では「菌がいないのに、どうして育つの?」という疑問が寄せられた。
しかし『クリスタルグレイン』で確実に育った大根を前に、選考委員会の流れは決まった。
「できてますよね」恒久さんの選考委員会での最後の説明になった。














