「再会」の江口のりこに殊勲賞
倉田 「再会」(テレ朝)を楽しく見ました。ある事件の謎を解いていくドラマですけれど、謎解きも楽しみでしたが、4人の登場人物が子ども時代に、トラウマ級の衝撃的な事件に遭遇する設定なんです。その体験を抱えた4人が大人になって再会したときに、抱えていたものの重さを互いに感じ合う。私はその人間関係の描き方のほうに魅かれました。
4人の中には、結婚して離婚した2人がいたり、思いを寄せていたけれど、その事件がきっかけで離れてしまったり、複雑な心理が描かれていて、もう少しそっちに比重があってもよかったと思いましたが、考察系としても楽しめました。
田幸 私も、考察系じゃない人間模様のほうをもう少し軸に描いてくれると深みがあっておもしろかったかなと思う一方、この作品はかなり配信で回ったんですよね。ふだんテレビドラマをあまり見ない若者の中で考察を楽しんだ方が多かったようで、その意味では、うまくいった作品だろうと思います。
影山 付け加えて言うならば、江口のりこさんに殊勲賞をあげたいです。彼女の芝居がなければ、最後まで完走して見られなかったかもしれません。すばらしい俳優さんだと思います。
これはドラマか?「神木隆之介」
田幸 ドラマというくくりでいいのかなと思ったんですが「TXQ FICTION神木隆之介」(テレ東)が印象に残りました。テレ東はフェイクドキュメンタリー、モキュメンタリーと称する作品を何本か作っています。テレ東が着々とつくってきたとっても変な枠なんです。
これまで「イシナガキクエを探しています」という作品とか、何の告知もなく突然始まるんです。これは何なんだ、ドキュメンタリーなのか何なのかと思って見ると、知らない人物を追っていく恐怖みたいなものを感じさせられる。テレ東はこれを深夜に突然やるんです。
かなり奇妙で怖い作品が続いた流れで、今回はなぜか神木隆之介さん。神木さんの芸能活動30周年の節目に「てるちゃん」という消えた元子役を追うというフェイクドキュメンタリーで、もちろんご本人が出演しています。
フェイクドキュメンタリーは、つくり物とリアルの境界線がわからない曖昧さがおもしろいんですけれど、この作品では神木さんの演技力もあって、実際に何を見ているのかわからなくなってきます。
「僕は大人になりません」と明るく言って消えてしまったというか死んでしまった子役の話を、有名な元子役の一人である神木さんが、子役と親と事務所の闇みたいなところも追っかけるというブラックさも含めて、何てことをテレ東はやるんだろうと。
日本中の誰もが知っている神木さんを真ん中に置きながら、これまで見てきた、みんなが知っていて、みんなが好きな神木さんという人物の輪郭がゆがんでいく怖さがあります。今まで育ててきたテレ東のフェイクドキュメンタリー作品に、神木さんが共犯者として踏み込んだ形です。本当にテレ東でしか生まれない作品なのでぜひ見てほしいです。














