SDGsをテーマに、大学生が開発したカードゲームが世界に広がっている。カードに書かれた課題に対して、解決策を提案し、イノベーションを生み出していく。「シリーズ SDGsの実践者たち」の 第53回。

学生の声から誕生したSDGsカードゲーム

大学生が開発したカードゲームが世界に広がっている。ゲームのテーマは「SDGs」。まずはどんなゲームか、説明しよう。

ゲームは2種類のカードによって行われる。1つは「トレードオフカード」。表面に「トレードオフ」と書かれ、裏面にはSDGsのために解決しなくてはならない「課題」が示されている。

画像のカードの場合は「環境のためにエアコンを使わないようにしたら、熱中症になりかけた」とある。トレードオフとは、一方を得るために他方の犠牲が必要な関係のことで、この場合「エアコンを使わない」と「熱中症を防ぐ」がトレードオフの関係になっている。このトレードオフ関係をどううまく解消するかが「課題」なのである。

そこで使われるのが、もう1種類のカードである「リソースカード」だ。リソースカードには課題を達成するための「もの」が書かれている。「微生物」「リサイクル技術」「人工衛星」「建築」「アニメ」など多岐にわたる。

では、実際にゲームを始めよう。ゲームは、進行を担当する「ファシリテーター」1人と、3〜4人の「プレイヤー」で行う。まずファシリテーターが、様々な「課題」が書かれているトレードオフカードの山から1枚めくる。ここでは先ほどの「環境のためにエアコンを使わないようにしたら、熱中症になりかけた」という「課題」が出たとしよう。

一方、プレイヤーはランダムに配られた「リソースカード」を3枚持っている。

プレイヤーは手持ちのリソースカードから1枚出して、解決につながるアイデアを披露する。この場合、最初のプレイヤーが出したカードは「建築」。アイデアは「高断熱、高気密な建物の構造にした涼しい家を作る」というもの。

2人目のプレイヤーは「微生物」のカードを出した。「高断熱、高気密な建物の構造にするとともに、微生物の力を活用した断熱シートを窓ガラスに貼る」というアイデア。最初のプレイヤーのアイデアを活かしながら、自分のアイデアを重ねていく。

3人目、最後のプレイヤーの手元には「リサイクル技術」「お笑い」「アニメ」のカードがあり、その中から「アニメ」のカードを出した。「アニメ」のカードが「建築」「微生物」とつながるようには思えないが、アイデアをまとめるためには「こじつける」ことも必要になってくる。

そこで出したアイデアは、「高断熱、高気密な構造を持ち、窓ガラスに微生物の力を活用した断熱シートを貼った家の中で涼しさを体感するとともに、怖いアニメを鑑賞して、気持ちの上でも涼しくなる」というもの。

プレイヤー全員がトレードオフを解消するアイデアを出せたら、1回目はクリアとなる。2回目、3回目に進むのだが、いったん出した手持ちのカードは使えない。手持ちのカードが減るなかで、新たなトレードオフカードに対するアイデアを出さねばならず、カードを途中で追加することもできないため、より「こじつけ」が難しくなっていく。

ファシリテーターはトレードオフカードの読み上げをはじめ、ゲームの進行役を務めながら解決策の創出をサポートする。参加したプレイヤーからトレードオフを解消するアイデアのプレゼンテーションを受けるのも、ファシリテーターの役割だ。