「テレビは一発で届く、ネットは何年先へも残していける」

(河村さん)
でも一方で、テレビってすごいと思うんです。もうほぼ一発で「作ったものが多くの人に届く」という伝達力の意味で言うと、改めてテレビはすごいと思うところもあるんですけど、「デジタルにニュースを出すことの意義」というのは、そのテレビに向けて作った価値のあるコンテンツを、さらにより多くの人に見てもらうための手段として積極的に捉えていった方がいいんじゃないのかなと、個人的に思います。

私たちの強みは、そもそも「一次情報に触れられること」「取材網があること」「取材する記者がいること」というのが何よりの財産であって、それが今まではテレビだけで終わっていたものを少し広げてみることで、記者の方たちの汗に報いることができるんじゃないかなと思います。

実際このTBS NEWS DIGというサイトが立ち上がって、やっぱり東京一局だけでやっていた頃と比べると、格段にユーザー数とそのPV(ページビュー)数が跳ね上がっています。

そして、地方局の取材力は本当にすごいものがあって、「コンテンツを作っていける力」が全国の局にあって、一つの器の中にいろんなコンテンツが入ってくるっていうのはいい仕組みだなと、この1年やらせていただいて実感しているところですし、ローカルの中にも全国のユーザーに届くものはきっとあって、そうしたものはデジタルでも花が咲くチャンスがあると思います。

放送は「一度放送してそこで一旦サイクルが止まるもの」だと思うんですけど、ネットの世界は「基本的には残っていく」ので、普遍性のあるテーマのものは、これからもずっと1年も2年も先でも読まれるものは、これからどんどん生まれてくると思います。

そうした意味でも、ローカル局のそれぞれの取材の中で、今後もっと伝えていかなきゃいけないニュースというのは、どんどんデジタルの方にも出していただきたいなというふうに思います。

ー全国28局の地域性や局の個性がある中で、そういった「多様性の力」が出していければいいですよね。

そうですね、やはり1局でやっているわけではなく28局でやっているので、ニュースの切り口は当然ながら一つではないですし、いろんな形でのコンテンツがいろんな方向から集まってくる、そこに多様性があるというのはすごく健全なことだというふうに思いますね。

だから、例えば「タップして開いた先にそういう世界がある」みたいな、何か世界観が出れば、そのようなサイトにTBS NEWS DIGがなっていけば理想です。

【あとがき】
読み進めて頂いた中で、「何だよ、TBS NEWS DIGアプリの宣伝ではないか」と思われる方もいらっしゃったかもしれません。そう思われても仕方ありませんが、私たちは至って真剣です。

災害から多くの人の命を守れれば、落とさずに済む命を救うきっかけになればと、私たちは出来る限りの災害・防災情報をテレビ・ラジオを通じて発信し続けています。それでも災害発生後にエリアの方が亡くなったというニュースを放送するたび、「もっと放送局として何かできたのではないか」という思いが募ってくるのです。

そんな中で救いとなるのが、情報の発信先として皆さんが普段所有している「スマホ」が加わったことです。しかも、テレビのない場所でも、どんな時でも災害情報を届けられるようになりました。

あとは、ユーザーの方々にその情報にどうリーチしていただくか、どう確実に見てもらえるか、に尽きます。そのタッチポイントとして「TBS NEWS DIG」は大きな可能性を感じています。台風や豪雨、水害から命を守るために...もし関心を持たれた方は、一度アクセスしてみてください。