スマホで、アプリで、「落とさずに済む命」を守れるか

そこで、一つの可能性となるのは、近年放送局が積極的に運用している「ネットニュース」です。RSK山陽放送でも日々15本ほどのニュースを、ネットニュースとして配信しています。

そんな中、「災害情報を広く、そして瞬時に届ける」役割を果たすべく、昨年RSK山陽放送も参加するJNN(Japan News Network)28局が新たなサイト・アプリを立ち上げました。それが「TBS NEWS DIG 防災・ニュース・天気 by JNN」です。

このサイト・アプリの目指すところについて、TBSテレビ報道局デジタル編集部 統括プロデューサーの河村健介さんに聞きました。

【河村健介さんプロフィール】2005年TBS入社。報道局社会部で警視庁・国交省担当。『news23』ディレクター、『Nスタ』デスクなどを経験し、2020年8月からデジタル編集部に所属。2021年には東日本震災や、太平洋戦争・終戦記念日、選挙などの地上波特番を担当し、現在はデジタル統括プロデューサーを担当。「TBS NEWS DIG」の成長にむけ、各部との調整や編集長業務にあたる。

ーまず伺いたいのが、「テレビ離れ」についてです。災害情報もそうですが、いま我々が必要な情報を「届けたくても届けられない」現実がありますよね。

(河村健介さん)
「これはなかなか難しいところがありますが、『テレビ離れ』とか『ニュースを見てくれない層が増えている』みたいな話は、今どこでも指摘されたり耳にしたりします」

「その層にどうやったら『伝えるべき災害情報・コンテンツ・ニュースを届けていけるか』というツールとして、やはりデジタルを頑張っていかないと、ニュースのタッチポイントをどんどん増やしていかないといけないと思っています」

「明らかに、いま一般の市民の方たちが『ニュースに触れる機会』は、スマホなどが圧倒的に増えていると。だからそこを活かさない手はないだろうと思います。スマホの中にあるコンテンツの数は爆発的に増えていますが、その中で『しっかりと取材した情報を届ける』というところを、我々は頑張っていかなくてはいけないと思いますね」

ネットとテレビの両輪で「災害に役立つ情報を1秒でも速く」

ーそのような中で、TBS NEWS DIGアプリは「防災情報の発信」に力を入れています。

「やはり放送だけでなく、ネットとの両輪でできることは、『災害を防ぐための情報の発信』だと思います。

TBS NEWS DIGのアプリでは、『雨雲レーダー』や『緊急地震速報』など、エリアに合わせた防災情報を届けるシステムを搭載しています。それは、全国28局が配信する災害情報に関するニュースだけではない、『災害から命を守るための情報発信』です」

雨雲レーダーは向こう14時間まで掲載
注意報・警報・地震情報も即時に掲載

実際に、TBS NEWS DIGアプリをスマホにダウンロードしてタップしてみると、「天気」の項目には「向こう16日間の予想最高気温・最低気温・降水確率」が掲載されているほか、「防災」の欄には注意報・警報・地震情報が、「雨雲レーダー」の欄は向こう14時間の雨雲の動きを見ることが出来ます。

ーいわゆる一般的な「ニュースアプリ」とは違うイメージですよね。

(河村さん)
「いまアプリですごく注力していこうとしているのが『防災情報』についてです。『命を守る情報』『命を救う情報』をいかに早く正確に届けるか、というツールとして入れていただければ、万が一のことや災害があったときの情報として役に立つことがあると思います。ですので『必ずお役に立てる情報を1秒でも早く』ということを心がけながら、開発チームが今でもずっとより良いものにと開発を続けています」