PかDか、プロデューサーは総合戦、演出は局地戦
久野 大山さんは、演出をずっとやってらっしゃったし、プロデューサーもおやりになる。そのディレクターとプロデューサーの問題ってのは、どうなの?
大山 どっちが好きかっていえば、もうそりゃ、演出が全然好きですね。演出家として出発し、演出家として認められてスタートしたと思ってます。
だけれど、プロデュースについては、予算も仕組みも大きくなってくると、現場で演技を指導したり、スタッフを引っ張ってったりする、そういう面白さ、表現の面白さとは別に、プロデューサーにはメディアと向き合える面白さがあると思うようになりました。
つまり、ディレクターは、どうしても表現の、現場の面白さっていうんですか。肉体的な接触、演技、映像を含めてクリエイトする面白さがありますよね。
久野 クリエイトという意味では、プロデューサーも同じでしょうけど。
大山 まあ、同じでしょうけど、もうちょっとね。やっぱり演出家は自分の感性、感受性をフル活動させる。一方プロデューサーは、もうすこし、ある種の社会的、経済的なものを含めて、人、金、モノを扱って、総合戦争みたいなことをするわけです。
その意味でいうと演出家は局地戦ですね。それこそ敵の姿を目の前にして戦う。スタッフと俳優組みんなで、ある戦いを実現する臨戦的な面白さがあります。プロデューサーの場合、コンピューターや何かを同時に使いながらの総合戦っていうんですか、そういう面白さがあって。まあ、プランナーとか計画者としての面白さはあると思います。
それと、若い才能を発見していくってのは、これは、演出家もプロデューサーも同じだと思いますけれども。
久野 ジャーナリズムとしての仕事っていう意味では、やっぱりディレクターよりは、プロデューサーの方が。
大山 そうですね。ジャーナリスティックな感覚を企画の中に発見していくというか、埋め込んでいくというか。そういう作業は、やっぱりプロデューサーの方が、まさにメディアと格闘する、勝負するっていうかね、そういう楽しさはあると思います。大変ですけれど。
それとやっぱり、演出家は体力がいります。本当、体力が衰えると、すぐオッケー出したくなるっていうね。そういうことがありますから、やっぱり演出家には若さ、体力が必要なんです。でも楽しさというか、達成感は演出の方がはるかにあります。
久野 それはそうですよね。まあ、お体を大事に。
大山 ありがとうございます。まあ、長年やってるだけの男ですけども、テレビというものの楽しさ、面白さ、可能性を、仲間を含めて自分なりに手応えを感じてきました。まだまだBSとか、チャンネルも増えるわけで。表現の領域が増えていくことはいいことだと思ってます。
久野 どんどん変わりますよ、まだまだ。
大山 そうですね。ありがとうございました。
<本インタビューは、2001年9月19日収録>
大山 勝美氏(おおやま・かつみ)氏の略歴
1932年 鹿児島県生まれ
1957年 早稲田大学法学部卒業後、ラジオ東京入社 1992年 TBSを定年退職、制作会社「カズモ」設立
1994年 紫綬褒章受章
2003年 勲四等旭日小綬章受章
2014年 没
【放送人の会】
一般社団法人「放送人の会」は、NHK、民放、プロダクションなどの枠を超え、番組制作に携わっている人、携わっていた人、放送メディアおよび放送文化に関心をもつ人々が、個人として参加している団体。
「放送人の証言」として先達のインタビューを映像として収録しており、デジタルアーカイブプロジェクトとしての企画を進めている。既に30人の証言をYouTubeにパイロット版としてアップしている。
【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版Webマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。














