4人に1人ができていない?上達のカギは“内的フィードバック”
なぜ自分では合っているつもりでもズレていたり、逆に合っていても自信が持てなかったりするのか。その鍵を握るのが「内的フィードバック」だ。
簡単に言えば、「自分の歌声が狙った音とピッタリ合っているか、自分自身で判断する認知能力」のことをいう。
実は、自分の歌声を正確に聴くのは、歌のプロであっても難しい。
なぜなら、自分の声を聴くとき、耳(外耳)から入ってくる空気の振動だけではなく、骨を通しても伝わる音「骨伝導」も同時に聴いているからだ。
録音した自分の声を聴いて違和感を抱くのは、この骨伝導の響きが含まれていないためである。つまり、歌っている最中の自分は、他人が聴いているのとは違う「特別な響き」を聴いていることになる。
そのため、他人の歌声のズレはすぐ分かっても、いざ自分の声となると認知が難しくなってしまう。
歌うことは、ただ声を出すだけでなく「自分の声を聴き、狙った音とピッタリ合っているか自分自身で答え合わせをする作業」でもある。この脳内での答え合わせがうまくいかないと、音高が合っているかどうかが分からなくなってしまうのだ。
歌が上手な人は、何も考えずに音を当てているわけではない。「あ、今少し高いな」「少し低いな」という小さな違和感に自分ですぐに気づき、瞬時に微調整している。
この「自分の音高・音程が合っているかどうかが分かる力(内的フィードバック)」こそが、上達に不可欠な鍵だという。
小畑教授の研究によると、小学6年生の時点でも約4人に1人が内的フィードバックができておらず、なんとなくの音程で歌っていることが判明したという。
ちなみに、この調査で男女の差はほとんど見られなかったとのこと。
つまり、性別に関係なく「自分の声が合っているか判断しにくい」という壁は、誰にでも起こりうる発達プロセスのひとつと言えるだろう。
小畑千尋 教授
「4人に1人と聞くと多いと感じるかもしれませんが、それは能力が低いわけではありません。ただ、その感覚を育てる機会が少なかっただけ。自転車に乗れるようになるのと同じように、学習できるスキルなので、大人になってからでも十分身につけることができます」

















