7代にわたって政権を支え、「影の総理」とも呼ばれた官房副長官、石原信雄氏(96)です。

元官房副長官・石原信雄氏「(朝鮮半島情勢は)容易ならざる事態に発展する可能性があるなと。本来なら政治がどうするかを決めるべきなんですが」

この時期、政権は揺れていました。

村山富市 社会党委員長「(細川氏が)総理大臣を辞任したいと」

金銭スキャンダルが報じられ、細川政権が退陣。代わって羽田内閣となる、まさに混乱のただ中だったのです。

政権交代の混乱の中、石原官房副長官は関係省庁に北朝鮮有事への対応検討を指示。

初の連携 自衛隊と警察 極秘に検討された“原発防衛”

石原信雄氏「あらゆる可能性について、立法化を含めてやらないかんと考えておりました」

国内17か所の原発が、北朝鮮の攻撃を受けた時、誰がどのように守るのか。

陸上自衛隊のトップだった冨澤暉氏は、極秘に警察庁と対応を協議。警察と初めて向き合った、当時の葛藤を明かします。

元陸上幕僚長・冨澤暉氏「(北朝鮮が)原子力発電所を襲った時に、警察ではとても(対処)できませんから、陸上自衛隊に出てもらわないと、どうしようもありませんねと言われた。警察の代わりにやるということは、教科書もないし訓練もしていないことは、やりませんと言って。協力関係を作るのはなかなか難しい、異質のものが(一緒に)戦うっていうのは」

結局、具体的な対応策は見いだせませんでした。しかし、状況はさらに緊迫。北朝鮮は核燃料棒の取り出しを強行し、核兵器開発の可能性をにおわせます。

対してアメリカは、北朝鮮への経済制裁を国連に提案し、韓国に駐留する部隊を増強。

平壌放送「敵対勢力の制裁措置は、我らに対する宣戦布告とみなす」

ホワイトハウスではクリントン大統領が、軍事攻撃を承認しようとしていました。

ついに戦争か…自衛隊は究極の選択を迫られます。治安出動によって原発を守ることを検討したのです。