ロシアのウクライナ侵攻で高まる“原発の危機”。実は日本でもかつて原発が戦争の脅威に直面しました。明かされた極秘作戦の計画とは?

標的にされたザポリージャ 日本の原発にもあった危機

この春、世界が震撼しました。ウクライナ南部、ヨーロッパ最大のザポリージャ原子力発電所がロシアの攻撃を受けたのです。

ウクライナ ゼレンスキー大統領「ウクライナには15基の原発がある。もし爆発すればヨーロッパの終わりだ」

攻撃は、ザポリージャにとどまらず、ウクライナに点在するのほかの原発にも及びました。

半年後、IAEA(国際原子力機関)はロシアに制圧された現地を視察。放射性物質の拡散を防ぐため安全保護区域の設置を求めたものの、いまだその動きはありません。

実は日本の原発も攻撃の危機に直面したことがあったのです。

日本の原発が攻撃の危機に晒されたのは1994年でした。アメリカと北朝鮮の対立が緊張の度を増し、一触即発の事態へと発展したのです。

このとき日本では、極秘作戦が検討されました。

元陸上幕僚長・冨澤暉氏「原子力発電所に、ゲリラ攻撃があるんじゃないかと」

知られざる日本の原発防衛、その全貌に迫ります。

“原発攻撃”想定した極秘文書 高まる核危機に日本は?

私たちは、入手した映像に息を呑みました。

実物の戦闘機、F-4ファントムを加速させ、壁に激突させる実験です。

壁の厚さは3.6メートル。この実験をアメリカの研究機関に依頼したのは、日本の原子力関連施設でした。

撮影時期は1988年、航空機の事故を想定した実験は関連施設の設計に活かされます。

一方で日本は、原発への攻撃についても研究を始めていました。外務省の極秘文書は、イラクで建設中だった原子炉がイスラエル空軍に爆撃されたことから作成されたものです。

極秘文書
「原子力発電所が同様の攻撃を受けるようなことがあれば、心理的不安に基づく社会的混乱は計り知れず、事態は極めて深刻なものとなる惧れがある」

極秘文書は電源の喪失、格納容器の破壊、原子炉の破壊を想定していました。

短期間で命を落とす者、最大で1万8千人。しかし、反原発運動への影響を考慮し、研究は部外秘として封印されたのです。

その後、北朝鮮で核開発疑惑が浮かび上がると、状況はにわかに緊迫。アメリカは核査察を求め、米韓合同軍事演習で北朝鮮に圧力をかけます。

クリントン大統領「北朝鮮は核開発をしても無駄だ。彼らが核爆弾を使った瞬間に北朝鮮という国がなくなるからだ」

かたや北朝鮮は、アメリカの同盟国である韓国を挑発。

北朝鮮「我々は戦争の準備ができている。ソウルは軍事境界線から遠くない。戦争になれば、火の海になる」

韓国「何!?戦争で応じるつもりか?」

北朝鮮「当然だ」

日本政府では、ひとりの官僚が水面下で動きました。