公平な給付に不可欠な「マイナンバー」の壁
それでも不公平が生じる可能性があります。国税庁の人に話を聞くと、例えば株の配当で所得を得ていながら確定申告の必要がない制度があり、多額の資産や継続的な所得があっても非課税世帯として給付の対象となる場合が少なくないということです。
ですから、給付を適正に行うためには、行政機関が情報を共有すること、つまり個々人の実態を行政機関が把握することが必要で、株などの資産を管理する証券口座と銀行の全部の口座にマイナンバーを振って個人の情報を一括して把握できるようにすること(名寄せ)が有効なのです。
ただそうすると、政府が個人情報に深く入り込むことになりますので、賛否は大きく分かれます。「自分は何も悪いことはしていないので把握されても構わない。公平を期する方がいい」という人と「政府に把握されるのは監視社会のようで嫌だ」という人に分かれるのです。
今回だけでなくかつてのコロナ支援金など、公平で迅速な給付をする際必ず議論になることですが、これこそ国民一人一人がどう考えるかが問われる問題です。物価高対策はこれから国会や「国民会議」で議論が活発化してきますが、7月17日までの会期中、こうしたことを念頭に置いて審議に注目していただければと思います。
◎山本修司

1962年大分県別府市出身。86年に毎日新聞入社。東京本社社会部長・西部本社編集局長を経て、19年にはオリンピック・パラリンピック室長に就任。22年から西部本社代表、24年から毎日新聞出版・代表取締役社長。














