若者の「保守化」ではなく「現実路線」
最後に、今回総選挙で注目された若年層の投票行動の変化について触れておきます。 出口調査などで「若者の保守化」が言われていますが、私は少し違うと見ています。選択的夫婦別姓や同性婚について、若年層の賛成率は圧倒的に高く、社会文化的にはむしろリベラルです。
ではなぜ、自民支持が増えたのか。それはイデオロギーの支持というより、「希望は欲しいが大きな変化は望まず」「野党はバラバラで頼りない」という現実的選択だとみられています。今の若者は昭和世代と違い、将来に希望を持ちにくい環境で育ったので、生活防衛の意識が強く、一見、保守的に見える安定志向が広まっているという分析です。
チームみらいも若者票を獲得しています。今の若年層は、批判や対立より対話や協調を望む傾向があるとされ、若者の多くを占める無党派層が、政権への対決色が濃い左派政党を敬遠し、風に乗った面もあったとみられます。
こうした変化に昭和リベラルは対応しきれず、数合わせで離合集散を繰り返してきた古い政治勢力とみなされた――そういう選挙だったのでしょう。
それは私も同様で、思い込みからこの結果を全く予想できず、妻に言われました。「過去の経験則を頼りに変化に背を向けていたら、ただの老害になるよ」と。深く刺さりました。
そのうえで一つだけ。「二度と戦争だけはしてはいけない」。これだけは、子や孫の世代に伝え続けたいと思っています。 中道勢力は、内部分裂の愚を繰り返さず、「再分配を軸に、経済政策や格差是正などに明確なビジョンを持つ」令和リベラルを再設計できるのか。それが問われています。
◎潟永秀一郎(がたなが・しゅういちろう)

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1961年生まれ。85年に毎日新聞入社。北九州や福岡など福岡県内での記者経験が長く、生活報道部(東京)、長崎支局長などを経てサンデー毎日編集長。取材は事件や災害から、暮らし、芸能など幅広く、テレビ出演多数。毎日新聞の公式キャラクター「なるほドリ」の命名者。














