不破が初ハーフでマラソンへ手応え

女子では若手期待の不破聖衣来が、レースを引っ張った。集団の中で力を貯めることも考えていたが、いざ走り始めたら自然と体が動いた。「自分のリズムを崩したくないと思いが一番あるので、そこはもう流れで、下がるよりこのまま行った方がいい、と判断しました」。

不破選手(クイーンズ駅伝)

先輩の樺沢和佳奈も余裕はあったが、不破が前に出たがっていると感じ、ペースメイクを後輩に任せた。樺沢は3月の初マラソンに向けて、「マラソンのレースペースでどれだけ余裕を持てるか」を確認することが狙いだった。不破は「10km以上のレースは初めてで、特徴のスピード持久力を10km以降でどこまで維持できるか」を試したかった。目的は違ったが、2人は同じ「(1km平均)3分20秒」を目安にしていたのだ。

残り2kmで山﨑りさがペースを上げるまで、不破が体1つ前で走り続けたが、フィニッシュでは1時間09分39秒の4位。樺沢、中地こころ、山﨑に競り負けたことは「自分の課題」と認めるが、初のハーフマラソンの走りには合格点を出すことができた。

「70分を切ることができたのはちょっと驚きで、嬉しいです。15kmまでは(10km地点の)流れで行くことができると思っていたので、10kmでは落ち着いて走ることができていました。15km以降でちょっとキツくなってしまったので、そこからが私の課題ですが、ハーフを3分20秒くらいで押して行くことができたので、そこは収穫です。今年中のフルマラソン・チャレンジも考えてはいるので、今後の練習次第なんですが、今回のハーフを1つのきっかけにして、今後マラソンにチャレンジしていきます」

不破が自身の走りに良い感触を得たレースで、同じルーキーの中地と山﨑が2、3位と不破に先着した。中地は自身2度目のハーフマラソンで、1時間09分24秒と自己記録を30秒以上更新した。「調子はそこまで上がっていなかったので、1時間9分台が出るとは思っていませんでした。結構ビックリしています」。昨年の大学女子駅伝2冠の立命大で、長めの区間を任されていた選手。全日本大学女子駅伝では5区(9.2km)で区間2位、富士山女子駅伝ではアンカーの7区(8.3km)で区間賞を獲得した。シスメックスに入社してからのトレーニングも、自分の力とすることができているのだろう。プリンセス駅伝でも5区(10.4km)区間3位と好走していた。

「不破さんが良いペースでずっと引っ張ってくれたので、15kmくらいまでは淡々と、ペース走(の練習)をしているイメージ走ることができました。不破さんも山﨑さんも大学から競い合ってきたライバルですけど、仲間なので一緒に走ることが楽しかったです。(2人に勝てたことは)すごく嬉しいですし、2人もマラソンを考えていると思うので、マラソンで私も一緒に強くなっていきたい」

五輪代表だった樺沢には及ばなかったが、2度目のハーフマラソンの中地と、初ハーフマラソンの山﨑&不破が好結果を出した。男子に比べて選手層の薄さが指摘されている日本の女子マラソン。数年後に今回の全日本実業団ハーフマラソンが、女子マラソン盛況のスタートだったと言われるかもしれない。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)