「意思決定過程に生い立ちの不遇性が大きく影響したとみることはできない」

 裁判では、母親の旧統一教会への入信や多額の献金、それによる家庭崩壊にも焦点が当てられましたが、そうした山上被告の生育環境をめぐり、奈良地裁判決は以下のように指摘しました。

▽生い立ち自体は不遇な側面が大きく、旧統一教会に激しい怒りを抱いたのは理解不能とは言えない
▽しかし、旧統一教会やその関係者に対し、激しい怒りや思い知らせたいなどの感情を抱いたとしても、銃などを製造して他者の生命を奪うことを決意した意思決定には、大きな飛躍があると言わざるをえない
▽旧統一教会の幹部を襲撃する見通しが立たない状態で、経済状況が逼迫し、襲撃実行をこれ以上待てないなどという自らの都合を優先させて、安倍氏襲撃を決意したものにほかならず、短絡的で自己中心的な意思決定過程だ  結論として、「家族をめぐる激しい葛藤や旧統一教会に対する負の感情を長年ため込んできたところ、内心でこれらを健全に解消し、あるいは合法的な手段による解決を模索せず、殺人などの手段を選択して実行した。その実行は被告自身が決断した結果にほかならず、その意思決定の過程に、生い立ちの不遇性が大きく影響したとみることはできない」と指弾。  

 情状酌量を求めた弁護人の主張を退け、検察官の求刑通り、山上被告に「無期懲役」を言い渡しました。