原監督が語る別大マラソンを選んだ理由
初マラソンが2月末の大阪だったのに対し、今回は2月頭の別大を選択した。その理由を青学大の原晋監督は「黒田を遊ばせたいから」と説明した。
「大阪まで引っ張るとその間もトレーニングをすることになります。4年間学生スポーツをまっとうしましたし、4月から社会人になってバタバタすると思うので、春休みの間にリフレッシュ旅行に行かせたり、のんびりさせる期間を作ってあげたいんですね。やっぱり箱根駅伝はものすごい空気感、緊張感のなかでやってきたので、どこかで休まないと体がもちません。でもマラソンはやった方がいい。僕は箱根駅伝からの流れでやるべきだと思うので、別大を選んだわけです」
青学大は過去にも別大で好結果を残している。東京世界陸上マラソン代表に成長した吉田祐也(28、GMOインターネットグループ)は当時の初マラソン歴代2位&学生歴代2位で走った。前述の横田、昨年学生記録(当時)で走った若林宏樹ら、別大に合わせるノウハウが青学大にはある。
にもかかわらず、原監督の目標設定が少しずつ下がっている。1月8日には「2時間06分05秒と同等の記録を出し、初マラソンがまぐれではなかった、マラソンもしっかり走るランナーということを見せてほしいですね」と話していたが、1月25日には「2回目のマラソンは厳しい。私としては2時間10分を切ってくれればいいと思っています。少し欲張ればMGC出場権獲得を目指して頑張ってほしい」とトーンダウンした。
MGCは27年秋開催予定のロサンゼルス五輪最重要選考会で、G1カテゴリーの別大マラソンでは日本人6位以内で2時間09分00秒以内の選手が、7位以下でも2時間06分30秒以内で走った選手が出場権を得る。世間の黒田への注目度が高く、ファンに過剰な期待をさせないことと、黒田自身へのプレッシャーを和らげようとしての発言だろう。
苦しい走りになる可能性もあるが、そういった経験をしておくことが、実業団で「日本記録を目指して行きたい」と言う黒田にプラスに働く。状態の良い時しかレースに出場しない習慣をつけてしまうと、代表選考レース前に状態が悪い時に対応できなくなってしまう。黒田にとって、マラソン選手としての幅を広げるレースになるのではないか。
期待が持てる部分もある。この1年間のトラックと駅伝は、3年時よりもレベルが上がっていた。箱根駅伝5区ではスピードは遅いが、そのなかでも押し通す走りでレベルの違いを見せた。別大のシーサイドコースが向かい風になった時、そのときの経験が生きるだろう。万全の状態でなくても黒田は強い。2度目のマラソンでその評価を得られたら、最高の卒業記念となる。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)

















