日本選手権マラソン競歩が3月15日、石川県能美市の日本陸連公認能美市営コース(往復1.0km)で行われ、男子は諏方元郁(26、愛知製鋼)が2時間58分21秒で、女子は梅野倖子(23、LOCOK)が3時間33分47秒で優勝。2人とも9月に名古屋で開幕するアジア大会代表に内定した。諏方はメジャー国際大会初の代表入り。フィニッシュ後に涙を流した理由は何だったのか。
涙の理由は「恩返し」ができたから
アジア大会代表内定を示したボードを手渡された諏方は、愛知製鋼チームの先輩である丸尾知司(34)の顔が視界に入ったことで、涙腺が崩壊してしまった。
「今までどれだけ迷惑をかけてきたんだろう、という気持ちが込み上げてきました。練習ではペースをちゃんと守れないし、(合宿などで)一緒に生活するとストレスをかけてしまったり。丸尾さんからいただくことばかりで、何かを恩返しすることがずっとできていませんでした。陸上の世界にいる以上、恩返しをするなら結果しかありません。それが今回の結果でできたっていう気持ちが、涙になってしまったのだと思います。本当にもう、ありがとうございます、っていう気持ちで、ただただ涙でした」
愛知製鋼には競歩選手が3人在籍する。山西利和(30)は20km競歩で、世界陸上の19年ドーハ大会と22年オレゴン大会を2連覇。25年には20km競歩、26年にはハーフマラソン競歩の世界記録もマークした。丸尾は17年世界陸上50km競歩4位。昨年の東京2025世界陸上は20km競歩と35km競歩の2種目に出場した(世界大会実施競歩ショート種目の距離は25年まで20km、今年から21.0975km。ロング種目は21年までは50km、22年から25年までが35km、今年から42.195km)。
諏方も22年の世界競歩チーム選手権に出場した。選考規程に則って選ばれたが、選考競技会を勝ち抜いた結果の日本代表ではなかったと、諏方自身は考えている。「今日はちゃんと優勝してアジア大会代表に内定したので、すごく嬉しいです。(自分だけ代表になっていないことは)ずっと気にしていた部分でした」。
9月のアジア大会本番に対しては、「愛知製鋼にとって地元の大会。そこに本当に自分が出られるんだ、というところで複雑な気持ちです。ワクワクしている部分と緊張している部分がある」という。ただ、目標については「金メダルと言わなければならないと思いますが、自分の立ち位置をしっかり見据えると、メダルを取る、ということにさせてください」と現実的に考えている。
35km競歩の昨年のアジアリスト1・2位は、東京2025世界陸上銅メダリストの勝木隼人(35、自衛隊体育学校)と、同種目元世界記録保持者の川野将虎(27、旭化成)が占めていた。諏方は8位で、中国3選手も諏方より上位に入っていた。
勝木は選考会である昨年10月の全日本競歩高畠のマラソン競歩に、2時間55分28秒(現時点の日本選手最高タイム)で優勝。代表入りが濃厚ということで、能美大会はハーフマラソン競歩に出場した(4位)。川野はマラソン競歩での代表入りを狙っていたが、エントリーミスでハーフマラソン競歩に回っていた(優勝)。
「今日の優勝記録は、勝木さんが高畠で出した2時間55分に3分差がありました。日本の競歩界としては良くありません」。アジア大会代表内定に感涙を流した諏方だったが、金メダルが目標とは言えなかった。

















