■“認知力アップ”について専門家や文科省は…

新潟市と岡山市、“認知力23倍という格差”を、専門家はどう見るのか?
生徒指導の問題に詳しい鳴門教育大学大学院の阪根健二特命教授は「日本のいじめ対応は、被害の早期発見と被害者の相談体制の充実に重点が置かれてきたが、地域によって対策の粗密があり、個々の教員のいじめに対する認知度も相違があるといえる。そのため、保護者やメディアからの指摘を受けてから、あわてて介入するという事例も少なくない。いじめに対する認知力を備えることは極めて重要であるが、いじめが深刻化する前に何ができるかという対応力も必要である。こうした力を鍛えておかないと、多くの教育関係者の努力があっても、予防しえないのではないか」と言う。重要な“対応力の格差”については、また回を改めて考えていく。



(鳴門教育大学大学院 阪根健二特命教授)

文科省児童生徒課生徒指導室の鈴木慰人室長は、全国的な認知力の格差について、「教員によっては、未だに昔のいじめの定義のままで認知しようとしている場合もあり、アンケートやヒアリングのやり方が下手な場合もある。そこは我々の反省点でもある。それらが格差の原因になっているのだろう」と述べた。

問題行動調査の発表の影で浮かび上がった“認知力の格差”という課題。一体、なぜこれだけの違いが生まれるのだろうか。今後、それをどうすれば改善できるのだろうか。次は「いじめの定義」を通して、“格差”の根本的な理由を探っていきたい。

執筆者:TBSテレビ「news23」編集長 川上敬二郎