■浮かび上がった“認知力の格差”

重大事態については後述するとして、今回指摘したいのは、“いじめ認知力の格差”についてだ。少しずつ縮小されているとはいえ、地域間の格差、学校ごとの格差、そして教員による格差がまだ大きい。調査によると、いじめを認知した学校は全体の8割を超えた(82.6%)が、逆に言えば約2割の学校は「うちの学校にはいじめがない。“いじめゼロ”だ」と宣言していることになる。いじめの定義が広くなり「どの学校でも起こりうるのを前提に、小さい芽のうちから摘み取ろう」ということなのに、芽の一つも見つからなかったのだろうか。


(文科省 令和元年度「問題行動調査」概要より)

地域間の格差については、文科省も問題視している。都道府県別「1000人あたりの認知件数」では、最多の宮崎県(122.4件)と最少の佐賀県(13.8件)で約9倍の差があった。ちなみに2018(平成30)年度も、宮崎県(101.3件)と佐賀県(9.7件)が最多と最少で、約10倍の差だった。文科省は調査結果の発表にあわせて全国に「通知」を出し、宮崎県の取り組みなどを参考に、より積極的な認知をと呼び掛けている。宮崎県教委は、各市町村の教育委員会に対し、各学校に認知件数を毎月確認し、特に“いじめゼロ”の学校には積極的な認知が図られているのか確認するよう依頼しているという。


(文科省 令和元年度「問題行動調査」概要より)