予算審議への影響と政治空白

解散・総選挙が行われれば、国会での予算案審議は後ろ倒しとなります。これは「物価高対策や賃上げ、景気の下支えこそが最優先」と総理自身が繰り返してきた発言と矛盾するとの批判も上がっています。

国民民主党の玉木代表は、年度内に予算を早期成立させることで自民党と合意していたことから、解散報道への強い憤りを示し「予算案への賛成を確約できなくなる」とまで言及していると言います。

リスナーからも「一市民としては物価高や円安対策を行うため通年で国会を開いて与野党で議論してもらいたいぐらいだが、現実は自民党の都合で総裁選そして今回の総選挙と、去年6月から臨時国会を除いてほぼ半年何も動いていない」「自民党の方々は政治的空白を作らないことが大事とよく言うが、政局を優先して何も動いていない今の状況こそ政治的空白と言うべき」との声が届いています。

これからの論点と有権者に問われるもの

今回の解散・総選挙で問われるべきことは何でしょうか。

高安教授は「政権としては高市さんを信任するかしないかというところにフォーカスさせたいのだろう。相手が見えない、選択肢が見えない中では、まだ就任したばかりなので、『やってもらったらいいじゃないか』という流れに持っていきたいのでは」と分析します。

しかし「連立パートナーにも言わないどころか、自分の党の幹事長、選対委員長にも相談していない。勝てばいいと思っているからこのスタイルでやっている」と指摘し、「有権者からすると、そういう政治のやり方を受け入れますかということが問われている」と述べました。

岩田部長も「本来衆議院選挙は政権選択の選挙で、各党が何をしたいか政策を戦わせる場。だけどこんな短期間だったら政策論争にならない」という自民党内の懸念の声を紹介しました。

リスナーからも「選挙のたびに耳にする『信を問う』という言葉が、解散と選挙という既成事実を先におき、『都合の悪いニュースはもう気にしない』という暗黙の了解を促す言い回しとして、半ば当然のように扱われているのだとしたら、とても危ういと想像してしまう」という意見が届いています。

今回の解散報道をめぐる議論は、単に選挙のタイミングという問題にとどまりません。総理大臣の権限とは何か、解散は何のために行われるべきなのか、そして日本政治が直面する本当の課題は何なのかという本質的な問題を投げかけています。

高安教授は「短い選挙運動期間だけれども、どういう政権構成がいいのだろうかということも有権者は考えなければいけない。これは本当に難しいことだ」と述べています。

今後、19日の総理会見を経て、選挙戦へと進んでいく可能性が高まっていますが、国民一人ひとりが冷静に政治を見つめ、判断を下すことが求められています。

(TBSラジオ『荻上チキ・Session』2026年1月14日放送「急転直下の衆議院解散報道。報道の背景と総理の権力、今後の論点とは」より)