モーター製造大手のニデックは3月3日(火)、会計不正問題をめぐる第三者委員会の調査報告書を公表。

経営の中枢として君臨した創業者の永守重信氏について、「会計不正を指示・主導した事実は発見されなかった」としつつも、「一部の会計不正を容認したとの評価を免れない」「会計不正の発覚が相次いでいたにもかかわらず、永守氏は、高すぎる業績目標の達成を求め続けた」と指弾し、「今般発覚した会計不正について、最も責めを負うべきなのは、永守氏である」と結論づけています。


▼東証が「特別注意銘柄」に指定

ニデック(京都市南区)をめぐっては、子会社の中国法人と取引先との間で、約2億円に上る不適切な会計処理が行われた疑いなどがあるとして、第三者委員会が設置され、東京証券取引所からは「特別注意銘柄」に指定される事態となっていました。

1973年に前身の「日本電産」を創業し、会社を一代で世界屈指のモーターメーカーに育て上げた永守重信氏は、去年12月に代表取締役グローバルグループ代表を辞任。2月26日に、名誉会長職も辞任していました。


▼“多種多様な会計不正”

ニデックは3月3日(火)、第三者委の調査報告書を公表しました。

第三者委は報告書の中で、ニデックの多岐にわたる拠点で、

▽資産性のない原材料や製品に資産性が認められると偽って、棚卸資産の評価損計上を回避していたケース
▽固定資産に関する減損テストの前提とされた売り上げ計画の中に、実現確度が低い案件を含めることで、減損を回避したケース
▽人件費を固定資産に計上し、減価償却を通じて費用化することにより、費用計上時期を先延ばしにしていたケース
▽本来は収益計上が許されない補助金を収益計上していたケース

など、多数の会計不正が確認されたと指摘。

また、「ニデック本社のCFOや経理部門が、ニデックグループ連結での業績目標達成のために、会計不正を主導する例もあった」「ニデックの役職員が会計監査人に不正確な情報、ミスリーディングな情報を与え、都合の良い意見を引き出そうとする様子が至るところで観察された」とも指摘しました。


▼“抑止機能を遥かに凌駕する程の強いプレッシャー”

そのうえで、原因について以下のように断じています。

「今般発見された会計不正の原因としてまず挙げるべきなのは、過度の業績プレッシャーの存在である。この業績プレッシャーは、そもそも非現実的な目標設定がなされ、続いてその達成に向けて極めて強いプレッシャーが加えられることにより生まれている。そのプレッシャーは永守氏を起点とするものであり、それがニデックの経営幹部を通じて、事業部門や子会社の幹部に対する強いプレッシャーとなり、会計不正を生み出すに至っている」

「ニデックは内部監査部門に会計監査に特化した部署を置くという、他の多くの企業には見られない稀な体制を構築しており、他の企業と比較しても、会計不正を行う『機会』が抑止された企業であるともいえる。ニデックにおいては、その抑止機能を遥かに凌駕する程の強い『プレッシャー(動機)』が存在していたと言わざるを得ない」


▼“会計不正の発覚が相次いでいたにもかかわらず、永守氏は高すぎる業績目標の達成を求め続けた”

そして、最大の焦点だった「永守重信氏」の関与や責任については、次のように結論づけています。

「永守氏が、今般発見された会計不正を指示・主導した事実は発見されなかった。もっとも、永守氏は、特命監査を行っている従業員からの報告を通じて、本来であれば直ちに是正が必要な会計不正を計画的に処理する例があることを把握していたが、それを受け入れている。これは会計不正の是正を先延ばしにすることにほかならず、それ自体会計不正と評価される。したがって、永守氏は、一部の会計不正を容認したとの評価を免れない」

「また、当委員会の調査の結果発見された会計不正は、いずれも強すぎる業績プレッシャーを原因として引き起こされていた。業績プレッシャーの起点となっていたのは、永守氏である。永守氏もそれを十分に認識しており(内部監査部門に会計監査に特化した部署を設けたのは、永守氏のリスク認識の表れである。)、現実に、ニデックグループでは業績プレッシャーを背景にした会計不正の発覚が相次いでいた。それにもかかわらず、永守氏は、高すぎる業績目標の達成を求め続けた」

「今般発覚した会計不正について最も責めを負うべきなのは、永守氏であると言わざるを得ない」