3区以降の選手たちも自身の状態に手応え

GMOインターネットグループは3区の鈴木塁人の走りがカギを握る。前回は区間13位でトップから3位に後退した。SGホールディングス時代の3回を含めると、今回で5年連続3区となり、23年には区間5位の実績もある。前回は「トップで来ることも想定していませんでしたし、力不足も痛感しました」と、心身とも準備ができていなかった。

しかし現在は「陸上をやって来た中で一番良い」と言えるほど状態が良い。「誰よりも走ってきて、粘り強さのベースが上がりました。去年の2倍強くなっています。借りを返しに行きます」

4区は前回区間3位で東京世界陸上ケニア代表と実績のあるK.ジャコブ(24)ではなく、M.テモイ(20)が走る。伊藤公一監督(49)は「向かい風対策です」と起用理由を説明。かなりの自信を持って送り出す。

5区の太田は「早めにトップをつかまえたい」(同監督)という意図での起用。東日本実業団駅伝以後はスピード練習も順調で、大学3年時の箱根駅伝3区のように、ハイペースで入ることも可能だと伊藤監督は見ている。6区の嶋津は前回の区間賞選手。「前回は“絶対に走れる”感覚でした。前回の感覚と同じか、それ以上の感覚を持てる走りをしたい」

7区の鶴川はラスト勝負に絶対の自信を持つ。「先頭でもらえば追いつかれても、最後で勝てばいいですし、追う展開でも数10秒ならすぐに追いついてプレッシャーをかけます。相手が先にロングスパートをしても、必ず対応します。どんな展開になっても最後の勝負には絶対に負けません」

初出場の20年大会以降、社のスローガンでもある「ナンバーワン」を目標としてきたが、選手たちの盛り上がりは今回が過去最高だ。伊藤監督は「ライバルチームの1、2、3区も強いので、3区終了時には先行されても仕方ない」と覚悟している。「30秒までなら、4区以降で逆転できるチャンスが大きいと思っています。その大きなポイントが5区の太田です。(5km付近の)松原橋までに先頭をつかめて欲しいですね」

そうなれば6、7区で逆転されることはない。その自信が持てる布陣になった。創部10周年のGMOインターネットグループが、初の“ナンバーワン”の座に就くチャンスが来た。

※写真:吉田選手(左)、太田選手

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)