最長区間の今江は区間賞に意欲

今江の前回2区の走りが素晴らしかった。吉田からトップと2秒差でタスキを受け、序盤から自身が先頭に立った。前に出されてしまっている、という見方もされたが、今江はしっかりした考えを持って走っていた。

「トヨタ自動車(鈴木芽吹・23)が中継で11秒後ろだったのに、先頭集団が牽制する雰囲気があったんです。その11秒を詰められるのはもったいないと思って、自分が前に行きました。自分でレースを作るための練習はしていたので、自分の決めたラップを淡々と刻んで行けば、自ずと良い結果が出る」

1区の吉田がライバルチームにつけた差を有効に活用したが、いきなりその走りができたわけではない。2区のコースやレース展開を前年の経験も元に検証し、ペースが速くなるところや、ペースに乗りにくいところなどを練習の中で想定して走った。集団で練習するときも前に出たり、後ろで我慢したり、ペースをコントロールした。

中継直後は7チームだった先頭集団を5km過ぎには5チームに、13km付近ではGMOインターネットグループ、旭化成、Hondaの3チームに絞っていた。15.5kmの上福島の交差点を左折し、今江が「2分55秒を超えないように」と予定していたペースで踏ん張ると、まずHondaが後れ、間もなく旭化成も離れていった。

だが代わってトヨタ自動車と花王が追い上げてきた。花王の池田耀平(27)は区間賞を取るのだが、トヨタ自動車の16秒後方から追い上げていたため余裕はない。トヨタ自動車の鈴木は24年の日本選手権5000m3位、10000m4位だった選手。今江は19km付近で6秒差まで迫られていた。「鈴木選手への声援がだんだん近くなっていました。もうひと踏ん張りしないといけない、と思ってギアを入れ直したシーンもありました」。今江はトヨタ自動車との差を中継時と同じ11秒に戻して3区にタスキを渡した。

11月3日の東日本実業団駅伝1区でも区間賞を獲得し、同22日の八王子ロングディスタンス10000mでも6組1位、27分33秒84と自己記録を9秒更新した。3年連続となる2区で、今回はどんな走りをしようとしているのか。

「吉田が前回みたいに、それなりに前で来てくれると思うので、2区終了時点でトップに立つか、秒差で3区に渡すことが仕事だと思っています。駅伝を走る者として、ニューイヤー駅伝の区間賞は他の駅伝とは違うものがある。それが最長区間の2区の区間賞なら、なおさら嬉しいこと。そこを目指してしっかり走りたいと思います」

今江の走りが崩れることは考えにくい。2区終了時点でGMOインターネットグループが優勝争いをしている確率は、かなり高いのではないか。