太田の駅伝の強さは「楽しむこと」から
吉田と太田は箱根駅伝の戦績だけでなく、卒業後にプロランナーの道を選んだことも共通している。2人とも基本的には1人で練習するが、吉田は夏以降はサンベルクスチームの練習に参加することが多くなり、太田も10月以降はGMOインターネットグループの選手たちと一緒に練習している。9月のベルリン・マラソンで、2時間14分02秒の18位と結果が出なかったことが理由だった。
「1人でやることで自分の考えを100%練習に反映させられます。目標から逆算して何をどうすべきかを自分で決めて、自分で責任を持ってやる。そこは1人でやるメリットですが、スピード系の(週に2~3回行う負荷の高い)ポイント練習は、100%消化することが難しかったんです。他の選手と一緒にやることも必要だとすごく感じました」
東日本実業団駅伝以降はスピード練習も学生時代と同じか、それ以上のレベルでできている。「今はまだ7割くらいですが、毎年箱根駅伝1週間前は7~8割でした。残り1週間でイメージを鮮明にして(10割まで)調整しています」
太田の箱根駅伝に合わせる能力は、学生トップランナーの中でもずば抜けていた。箱根駅伝では10km通過を、10000mの自己記録より1分近く速いタイムで通過した。オーバーペースで後半失速するケースだが、太田は絶対に失速しない。どうしてそんな走りができたのか?「駅伝が楽しいからです。大学駅伝は僕が大学に行った意味でもありますし、年間で一番、そこに向けてピーキングをしています。そして大きな大会ほど気持ちがすごく高ぶります」
駅伝へのスタンスは学生駅伝も実業団駅伝も「変わらない」という。「僕の人生の信念で、常に全力で楽しむ、という考えがあります。楽しめなければやっている意味はない。楽しもうと思って1年間頑張っていれば、自然とワクワクしてきます。その大会が今はニューイヤー駅伝と、来年のマラソンです」
箱根駅伝がそうだったように、太田が世間をあっと言わせる走りをするときが迫っている。

















