行政の壁を越え、国を動かす

さらに、同じ思いを持つ仲間たちと「途切れない支援を被害者と考える会」を立ち上げた。会では2014年、被害にあった直後から道しるべとなる「被害者ノート」を2年間かけて作成した。

ノートは約100ページあり、捜査や裁判で繰り返し聞かれることを整理して記入できる。役所での手続き、裁判への参加方法などの解説のほか、自身の体調をチェックする欄も作った。

被害にあったあと、何も分からず苦しんだ近藤さん。あの時の私が教えて欲しかったこと、助けてほしかったことをまとめた。

「被害者ノート」(近藤さんのブログより)

「ちょっと先輩の私は、このノートを手にしたあなたたちの力になりたい」といったコメントも添えた。

この市民運動から始まったノートは、国を動かす力となり、現在は国の「被害者手帳」という形に結実しようとしている。

2025年、近藤さんはある国の会議で、「加害者がうらやましくて泣いた」と訴えた。