実は日本が握る“通信の要” 製造の現場に密着 

世界の通信を支える海底ケーブル。その製造で重要な役割を果たしているのが日本だ。

北九州にある国内で唯一、通信海底ケーブルを製造するNECグループの工場。ここで作られる海底ケーブルはフランス、アメリカの企業に次ぎ、世界シェア第3位を誇る。

工場の中に入ると、直径2mを超える銅線の巨大な筒や、高さ10m近いケーブルを巻くためのタンクが並び、そのスケールに圧倒される。

左は深海用の無外装ケーブル 右は浅瀬用のダブルアーマー

ケーブルには大別すると太いものと細いものがある。

岩場や珊瑚礁があったり、漁業など人の活動が多い浅瀬では、断線しないよう鉄線で二重に補強された「ダブルアーマー」と呼ばれる太いケーブルを使用する。一方、障害物の少ない深海では、細いケーブルが使われる。

浅瀬用のダブルアーマーは、持ち上げるとずっしりと重く非常に頑丈。それでも、船の錨が引っかかったり、地震で地盤が動いたりすると、破損や切断は避けられないという。

そして、海底ケーブルの中で最も重要なのが「光ファイバー」。髪の毛ほどの細さの光ファイバーを48本束ねることで、海底ケーブル1本で「ギガ」の100万倍にあたる「ペタ」単位の通信量を実現。これは最新の衛星160機分に相当する通信量だ。