今年11月までの大阪への観光客が「過去最多」と大阪観光局が発表しました。その一方で、中国からの観光客は伸び悩み、関西空港への中国便は3割減ということです。高市早苗総理の“台湾有事”発言で悪化が続いている日中関係。

 中国に進出している日本企業は1万3000社以上といわれます。なぜ多くの企業が中国に出ていくのか。そして今回のような政治リスクが改めて認識された中、今後どういうつきあい方をしていくべきなのか?

 東京財団・常勤研究員の柯隆特任教授への取材を含め、山中真アナウンサーが日中関係を、経済を軸に解説します。

観光業だけじゃない…密接な日中経済関係

 中国の“渡航自粛”呼びかけから約1か月。経済への影響は、観光業にとどまりません。中国に進出する日本企業からは次のような声があがっています。

▼エンタメ関連「販促イベントはすべて中止。地方政府が中央政府に気を使っているようだ。“日本らしさ”をできるだけ出さないように販売している」
▼電子機器関連「商工会主催の忘年会は中止。最近、業務に欠かせないものが禁輸となって仕事にも支障が出ている」

 日本にとって、中国は大きな市場。中国進出の日本企業は約1万3000社(2024年・帝国データバンク)で、日本の貿易相手国1位は中国です。

<輸入額>
1位 中国   25.9兆円
2位 アメリカ 12.6兆円
3位 豪州   7.8兆円
4位 UAE  5.9兆円
5位 韓国   4.8兆円
<輸出額>
1位 アメリカ 21.6兆円
2位 中国   18.9兆円
3位 韓国   7.2兆円
4位 台湾   7.2兆円
5位 香港   5.6兆円
(2024年度・財務省調べ)

 中国からの輸入で上位を占めているのはスマートフォン・パソコン関連などのハイテク製品。日本からの輸出で多いのは半導体部品や高性能プラスチック素材などです。

<輸入 中国→日本>
1位 通信機     3.1兆
2位 電算機類    2.2兆
3位 衣類・同付属品 1.8兆
<輸出 日本→中国>
1位 半導体等製造装置 2.1兆
2位 半導体等電子部品 1.3兆
3位 プラスチック   1.3兆
(2024年度・財務省調べ)

 日本が高品質の部品などを輸出し、中国で製品として組み立て、それを世界中に輸出するという構造ができています。