「なぜ言葉で注意するのではなく暴力になってしまったのか」
「環境や周囲の大人も、悪かったのではないか」
「自分もコーチをしているが、選手選考や戦略作りに悩んでいる」

学生たちからは様々な意見が出るが、時に手が挙がらなくなることも。それでも石原さんは待ち続ける。待ってもダメなら、学生たちの席にマイクを回す。マイクを手にした学生たちは不思議と発言を始め、マイクは次の発言者へと手渡されていく。発言が的確かどうか、ではない。自分自身で考え、言葉にすることのほうが重要視される。

自分が動き、考え、プロセスを歩むことを教える

発言内容より「考える、言葉にする」ことに重きを置いた授業

石原端子准教授:
「いっぱい失敗してくれ、と言っています。授業では4~5人のグループを作って話し合ってもらうんですが、毎回その中のリーダーに求めるのは、『引っ張る人じゃなくて、言葉を引き出す人だよ』と細かく言っています。なぜこの授業をやるのか。それはコーチアビリティが大きな組織になっても大事なことだからです。授業でできないことは部活動の中でも当然できないので」

「教育現場に行くと指導者は正解を求められますが、私は授業中ことごとく正解を言いません。まずは、自分が動きましょう、考えましょう、プロセスを歩みましょう。インテグリティ(誠実さ・真摯さ)のあるスポーツ人になろうねと学生たちには伝えています」