「凶」は戒め。「引き直し」は神様に失礼?

――もし「凶」を引いてしまったら、どう受け止めればいいでしょう。

平野:がっかりしますよね。でも、「凶」は現状への戒めや注意喚起と捉えるのが良いでしょう。「何もしなければ悪い方向に行くかもしれないから、気をつけなさい」という神仏からのアドバイスなんです。

――ふむふむ。

平野:例えば浅草寺の「凶」のおみくじの漢詩には、「火發應連天(火発してまさに天に連なるべし)」という句があります。これは「欲望や怒りの炎が燃え上がっている状態」を示唆しています。そして「逃れようとしても船がなく渡れない」と続く。つまり、問題から目を背けることはできないから、自分の内面と向き合い、クールダウンしなさい、というメッセージとして読み解けるわけです。

浅草寺観音籤
浅草寺観音籤

――つい、結果が気に入らないからともう一度引きたくなりますが…。

平野:それは神様に対して失礼にあたるので、基本的にはやめたほうがいいですね。心を集中させて引いた、最初の結果を大切に受け止めてください。

――おみくじの有効期限はありますか? やはり1年間でしょうか。

平野:特に決まりはありません。お正月に1年の指針として引くのも良いですし、何か悩んだりアドバイスが欲しくなったりした時に、その都度引いても構いません。お医者さんやカウンセラーに相談するような気持ちで、神仏の言葉をいただきに行くと考えてみてください。

――引いたおみくじは、境内に結ぶべきか、持ち帰るべきか、これも悩みます。

平野:これも決まりはありませんが、私は持ち帰ることをお勧めしています。引いた時に自分が何を感じ、どう解釈したかを「おみくじ帖」のようなものを作って記録しておくと、後から見返した時に自分の心の記録になって面白いですよ。