〝項目別運勢〟全部自分のことだと思っていませんか?それ、違うんです

――多くの人が疑問に思っているであろう、おみくじの作法について伺います。まず、吉凶の順番。「吉」と「中吉」はどっちが上?とか、よく話題になります。

成蹊大学文学部 平野多恵教授:一言で言うと、決まっていません。

――ええっ、決まってないんですか!?

平野:はい。神社やお寺によって違います。一般的には「大吉、吉、中吉、小吉、末吉」の順と言われますが、これが絶対ではありません。最近では、皆さんの幸せになりたいという気持ちに応えてか、京都府の伏見稲荷大社や城南宮の「大大吉」や兵庫県の西宮神社の「大福」といった、大吉以上のものも増えています。

――では、吉凶の下に書かれている「待ち人」や「失せ物」といった項目別の運勢。あれはどのように読めばいいのでしょうか。お正月に引いて、「今年の自分の運勢はこうだ」と全部の項目を読んでいるのですが…。

平野:ほとんどの人がそう思っているかもしれませんが、実はその読み方は違うんです。

――違うんですか!?

平野:はい。あの項目は、誰がどんな悩みで引いても答えを得られるように、あらかじめ用意されているものです。ですから、全部があなたの今年の運勢というわけではありません。

――では、どうすれば…。

平野:おみくじを引く前に、「今年は健康でいられますように」とか「就職活動がうまくいきますように」とか、自分の願いや悩みを一つ、心の中で明確にすることが大切です。そして、引いたおみくじの和歌や漢詩、全体運に加えて、その願い事に対応する項目(健康なら「病気」、就職なら「願望」など)を読む。それが、あなた個人に向けられたメッセージなのです。

――目から鱗です。欲張って全部読んではいけなかったんですね。

平野:そういうことですね(笑)。神様からのメッセージですから、一つの問いに集中して引いていただくのが本来の作法です。