働く意欲と現実の壁
今年2月。この日は父の克幸(56)さんと障がい者が対象の合同面接会に参加した。

父・克幸さん
「車いす移動不可って書かれたら、たまらんな」
澪音さん
「(勤務時間が)長時間の場合だと、トイレの介助をしていただきたいんです。歩けないので」
できること、できないことを丁寧に伝え、重度障がい者の自分が働ける職場を探す。
澪音さん
「音声入力とかタッチパネルのパソコンが使えると、時間がかからずに(作業)できるかな、というのはあるんですけど」
大津市役所の採用担当者
「そういった器具を使って、よりやりやすい環境があれば良い。なかなか市役所ではそこまで、難しいところはあるんですけど」
手足が不自由で介助を必要とする澪音さん。実は、ある制度の壁が、外で働くことをより難しくしている。
それは「仕事でヘルパーを利用しにくい」ということだ。

日常生活で重度障がい者がヘルパーを利用する場合、国などの助成があるため最大で月およそ3万7000円の自己負担で済む。
ところが、職場でヘルパーを利用すると、原則、助成の対象外となり月およそ30万から40万円を利用者や雇用主が負担しなければならなくなる。
実際、澪音さんが採用試験を受けた企業に話を聞くと、「重度障がい者を雇うためにはヘルパーも雇う必要があり、費用面で採用が難しい」と答えている。
それでも澪音さんは、外に出て人と関わりながら働きたいと考えている。

澪音さん
「障がい者だけの関わりではなくて、健常者の方との関わりも家族も含めて多く機会をもらったので、恩返しという意味も含めて社会で貢献したいなって」














