寝不足は万病のもと…5つのリスクとは?

 ヒトには必ず睡眠が必要で、「ショートスリーパーは存在しない」ということが睡眠医学の研究で明らかになっています。

 めいほう睡眠めまいクリニック・中山明峰院長は、「1週間食べなくても生きられるが、1週間寝なければ生きていけない」と指摘。寝不足は、認知症・うつ病・メタボ・慢性疾患・がんなど万病のもとになります。

<認知症>
 頭を使うと脳内にゴミ(アミロイドβなど)がたまりますが、睡眠にはこのゴミを“洗い流す”効果が。睡眠不足でゴミがたまると脳が萎縮し、アルツハイマー型認知症につながります。

<うつ病>
 就寝中に腸内で作られる“幸せホルモン”=セロトニンが睡眠不足で減少すると、睡眠のホルモン=メラトニンも減少します。そうすると、眠れなくなり→セロトニン分泌量が減って→メラトニンも減少し…と悪循環に。うつ病患者の9割の初期症状は睡眠障害で、セロトニンの働きを増強する薬を処方し治療すると言います。

<メタボ>
 脳に必要な“エネルギー”は「睡眠」と「糖分」です。したがって、睡眠が不足すると、その不足分を糖分でまかなおうとするため、肥満につながります。

<慢性疾患・がん>
 睡眠不足は糖尿病・高血圧・心筋梗塞・脳梗塞などのリスクを高め症状を悪化させます。また、免疫力低下につながり、がんの一因にもなるという研究も進んでいるといいます。

 最近、専門家の間では「睡眠不足」の代わりに「睡眠負債」という言葉が使われているようです。「負債分」を返すことはできても貯めることはできない、つまり“寝だめ”はできないのです。