中国・輸出規制で「技術情報などを入手」
中国にとって、レアアースは「交渉の強力なカード」としてだけではなく、「他国から技術情報などを入手する手段」でもあると細川さんは危機感を口にする。

<中国の輸出規制の目的・意図>
【1】外交的な取引材料
【2】技術情報・顧客情報の入手
【3】技術目的の企業誘致

『明星大学』教授 細川昌彦さん:
「日本の企業が輸出の許可をしてもらうために申請したとする。すると中国は、認めてあげるから“技術情報や顧客情報を全部開示しろ”と言ってくる。どんなことに使うのか、どういう使い方をするのか、あるいは売る相手や、どう流すのかなど企業にとってはまさに機密情報。それを入手して、今度は自分たちで作ろうと。実際に同じようなことが過去にもあった」
細川さんが“先例”として挙げたのは、レアアースの「ネオジム」や「ジスプロシウム」。
EVの生産、特にモーターに使われる強力な磁石(ネオジム磁石)などに不可欠な材料で、中国が採掘・精錬・加工をほぼ独占している。

細川さん:
「ネオジム磁石は、かつては日本企業が強かった。しかし2010年代にネオジムやジスプロシウムが禁輸になり日本企業は締め出され、今やネオジム磁石の世界シェアの85%が中国企業になった。それで今度はネオジム磁石とレアアースを規制することで、ネオジム磁石を使う駆動用モーターを狙う。駆動用モーターは、今は日本企業が強いが、技術情報などを全部開示しろということになる」
さらに細川さんは、輸出規制の狙いには“技術目的の企業誘致”もあると話す。
細川さん:
「中国に進出すればたっぷりと供給してあげますと言われたら、中国に工場を造る。それとともに技術は向こうの合弁相手に流れちゃう。こういうことがこれまでも起こっていて、気がついたら上流から下流まで一気通貫に全部中国が抑える。これが彼らの戦略。だから、今とりあえず入手できたと喜んでいる場合じゃない。調達したいがために情報を出しておけという短期的なことしか頭にないと、全部中国に取られていく」
――表だって何かを禁輸するみたいな事は言わずに、輸出規制の蛇口の加減を変えることで圧力をかけてくる

細川さん:
「中国は蛇口の開け閉めを絶対に手放さない。そして今、高市政権に対して経済圧力を強めていく一つの手段。レアアースなどの輸出規制の“恣意的運用”で、日本企業にいかに悲鳴を上げさせるか。そういうこともあり得るので、私達は身構えなきゃいけない」
(BS-TBS『Bizスクエア』2025年12月6日放送より)














