■原発事故直後に「新酒を出品したい」杜氏たちの執念
しかし、2011年3月11日。
東日本大震災が東北を襲い、県内の酒蔵もほとんどが被災。

直後には、東京電力福島第一原発事故が発生し、風評被害が拡大。
日本酒をはじめ積極的に首都圏へ県産品のアピールを試みるものの、心無い言葉を浴びせられることもありました。
一方、県清酒アカデミーもその機能を停止し、鈴木さんを含めた職員たちは支援物資の振り分けなどに追われていました。
新酒鑑評会どころではないと考えていた矢先、アカデミーの卒業生や多くの杜氏が鈴木さんに「鑑評会に新酒を出品したい。味を確かめて欲しい」と頼んできたのです。
そして迎えた東日本大震災からわずか2か月後の5月の鑑評会。
福島県の金賞受賞数は、全国2位に。

風評被害のなか、杜氏たちの執念が実ったのです。
そして2013年・・・ついに、金賞受賞数日本一を獲得。

その後も福島の日本酒の破竹の勢いは止まらず、今年、福島県は全国新酒鑑評会で金賞受賞数9回連続日本一を達成しました。
今では『日本酒の神様』とも評される鈴木さんのもとには、県内だけでなく全国から講演の依頼が次々舞い込んでいます。

日本酒の神、鈴木さんの多忙な日々は続きます。
(2022年12月14日放送回より)