歯医者は、銀歯を作れば作るほど赤字?

金パラが30グラムあたり14万円台となれば、1グラムあたりは4800円前後。しかし、医療機関に支払われる保険償還価格は1グラム当たり3445円(~11月末)です。この差額は1388円となり、被せの銀歯に使う金パラの量をおよそ3・5グラムとみれば、1本作るためにおよそ4800円を歯科医師側が持ち出すことになります。
野田真 院長
「金の価格も物凄く高騰しているしそれに釣られて銀の値段も2倍、3倍に上がっている。赤字かな…というのはある」
銀歯で治療すればするほど赤字になる現状。しかし、現場の歯科医師たちもこの状況をただ見ているわけではないようです。
注目高まる白い“かぶせ”…銀歯に代わる代物なのか?
「かほく市にあるこちらの歯科医院。院内に歯科技工士が在籍しています。いま、金属以外での虫歯の治療が進んでいます」(記者リポート)
石川県かほく市内日角のCUBE歯科・矯正歯科にある院内技工所。ここでは“メタルフリー”=金属を一切使わずセラミックの粉末を混ぜたハイブリッドレジンを使い“被せもの”を作っています。
それがこの、CAD/CAM冠(キャド・キャム クラウン)です。

ここ数年で保険が適用される範囲も広がり、見た目も白いことから注目が高まっています。
CAD/CAM冠は、まず、治療する歯をかたどった石膏をスキャンし、CAD(キャド)と呼ばれるシステムでコンピューター設計します。それをCAMと呼ばれる製造システムで削り、銀歯ではない被せものを作っていきます。

角田真太郎 歯科医師
「同じぐらいです。価格は(銀歯と)そこまで変わらない。材料費が安定しているという所ともう一つは、患者さんからすると白いのでその審美的に金属よりも優位性があるのかなと」
その一方で、患者全体の半数はいまだに銀歯で治療しています。歯科医師の角田さんは「すべての患者にCAD・CAM冠が適合するわけではない」と課題を指摘します。
角田真太郎 歯科医師
「5本に1本は取れたりとか欠けたりするというデータも最近出てきているので、本当に金属のように長期安定したような治療になるかどうかが懸念点。“金属よりも絶対に白いほうがいいですよ”みたいなことは言いづらい」
CAD/CAM冠を扱う歯科技工士も、日々変わる金属の価格に目を光らせていました。
「2015年は(30グラム)3万4000円。今と全然違う。もうチェックしないと怖い。一番高い時に買ったらやはり…でかいじゃないですか」(歯科技工士)
診療報酬の改定を前に角田さんは国に対し、材料費のみならず歯科医師や歯科技工士に支払う技術料の見直しも求めています。
角田真太郎 歯科医師
「銀歯は作る時に技工士が一つ一つ手作りしている。日本の技工士は優秀なので精度が高い。院内で歯科技工士を雇用して院内のものを一緒に作るような取り組みに振り切っている」














