「ずっと苦しい」「トラウマになっている」癒えない両親の傷

突然息子を奪われた両親の悲しみは深かった。

2021年10月の裁判で、父親は取材に対し「自分の子どもが亡くなることが、どれだけ悲しいことか。ずっと苦しい」「楽しかった思い出や、いつか帰ってくるんじゃないかと考えながら過ごしている」と胸の内を吐露した。

母親もまた「遺影を見るのもまだつらい」「事故にあった場所と同じような大きな交差点を渡るのが怖く、トラウマになっている」と語っていた。

裁判の中で、両親は危険運転致死と酒気帯び運転の上限となる懲役23年を求めたが、判決はほど遠いものだった。

男は危険運転致死罪と酒気帯び運転、救護義務違反(ひき逃げ)の罪で懲役9年10か月の実刑判決を受け、服役している。

飲酒運転による死亡事故 前年比25%増…

警察庁によると、2024年中の飲酒運転による交通事故は2,346件で、前年と同数だった。このうち死亡事故は140件で、前年と比べて28件増加、プラス25.0%に上る。

飲酒運転による死亡事故は、厳罰化や根絶に向けた社会的気運の高まりなどを背景に、2002年以降は大幅に減少してきた。しかし、2008年以降は減少幅が縮小し、下げ止まりの傾向が見られる。

父が手記で伝えたいこと

大喜さんが飲酒運転で命を奪われた現場の国道10号には、今も花や飲み物が絶えることなく手向けられ、祈りが捧げられている。

11月20日の大会では、かごしま犯罪被害者支援センターの相談員が手記を代読する間、涙を流す人の姿もあった。

「飲酒運転のない社会を」という願いと共に、手記の朗読全文を紹介する。