国民スポーツ大会への出場で「絵を見て勇気をもらえたらいいなと」

 息子の光寿さんにも理由がありました。

 (堅田光寿さん)「いつもお父さんはなんか、もうちょい頑張れみたいな感じで。ある程度頑張っていても、その上をいきたいみたいな感じでしたね」

 将来、消防隊員になりたいとウエイトリフティング部で体を鍛えている光寿さん。実は10月に地元・滋賀で開かれる国民スポーツ大会への出場を決めていました。

 幼い頃からどんなときも背中を押してくれた父・正樹さん。大舞台でもう一度、父から力をもらいたいと考えました。

 (堅田光寿さん)「今までやったことのない重量をやると思うので、そのときに絵を見て何か勇気をもらえたらいいなと思って」

 大村さんは2人の思い出や過去の写真から絆画の構想を練ります。

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 2人にとって特に思い入れのある写真があります。光寿さんの中学校の入学式の後に寺の前で撮った父と息子の2ショット写真です。

 (大村順さん)「すごくかわいらしい笑顔をされますね」
 (堅田理枝さん)「(正樹さんは)直立不動の人だったから、ふざけたことを言って笑わせるのが好きだったんですよ。ちょっと笑ってよ!ちょっと!とか言いながら」
 (大村順さん)「だからあんな顔なんですか」
 (堅田理枝さん)「それが好きだったんですよ。笑わせたくて。私はいつも撮り手に回っていたから。息子とお父さんを一緒に撮りたいという自分がどこかにあるんですよ」

 もし、正樹さんが生きていたら…理枝さんが未来に撮っていたであろう息子と父親の2ショットを描くことに決めました。