大量死の要因のひとつは「暑さ」

 広島大学・小池一彦教授によると、カキの大量死の考えられる要因1つ目は、「異常な高水温」。

 今年最大の特徴として、▽広島の梅雨明けが例年に比べ3週間早い、▽その後、数週間で海水温が5℃~6℃上昇、▽カキがストレスを感じる水温25℃を9月末でも下回らず、ということがあげられます。

 しかし、暑さだけでは死なないカキがこれほど大量死してしまったのでしょうか?考えられることは2つあります。

 1つ目は、「高水温で卵を産みすぎた可能性」があるということです。高水温が長く続き、通常よりも何回も産卵した可能性。産卵でエネルギーを消耗し、体力が低下することでカキが弱ってしまった原因ではないかといいます。ちなみに、カキの産卵の目安は、「冬の水温(約10℃)から毎日積算して600℃になった頃」だということです。
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 2つ目は、「高水温で息苦しくなった」可能性です。高水温のときは、海面に近いところは温度が高く、海底に近くなると温度が低くなります。この温度差があまりなければ、風などで海水が混ざりあいますが、温度差があると密度の差が大きくなってしまうことで海水が混ざりにくくなり、海底に酸素が行き届かず、カキが弱ってしまったと考えられるということです。