“任せられる”と確信 ドラマで貫かれた血と思いの「継承」
早見さんが、自身の作品が映像化される際に唯一大切にしているのは、「僕が小説で伝えたかったことを、100汲み取ってもらえているかどうか」。
「僕は原作vs映像になることに、全く意味がないと思っています」と映像化に寄り添い、「僕の思いが100伝わるのなら、たとえ主人公が変わったとしても、今回でいえば馬が出てこなくてもいいとさえ思っています。伝えたいことにブレがなければ、絶対に大丈夫だと確信しているので」と続ける。
今回は、加藤プロデューサーから「血の継承の物語であり、人間の思いと夢の継承の物語だ」と説明され、「そこが縦軸として貫かれていれば、何をやっても間違いないと思った」と、“任せられる”と確信したという。
ドラマでは、早見さんが企画当初から望んでいたという「自然の中での馬の描写」に加え、日高地方の風景や昆布漁の情景なども、「美しい」と話題に。迫力のレースシーンや、そうした描写などの「演出」を担う塚原さんには、自身の執筆の際の経験も踏まえて、こう伝えたという。
「例え競馬に詳しい層から厳しい声が上がったとしても、とらわれすぎる必要はないと話しました。それは僕も、小説を書いている時に念頭に置いていたことなんです。コアに迎合しすぎたら、大きな読者を逃すと思っていたので」
「原作班」の目から見たドラマについては、「馬の血の継承、という部分で馬の話を書くとしても、僕はやっぱりそこで人間の思いと夢の継承を大事にしようと思って書きました。ドラマでもそういうものを作ってくれていると思っています」と話す。
早見さんがペンを執った馬と人の物語は今、映像となり再び人々の心を動かす。劇中で描かれるその“人間ドラマ”は、放送終盤に向けても、今後さらに熱を帯びていく。
早見さんが脚本を全て読み終えた際に「飛び抜けて好きだった」という回は、いずれもこれから放送される第7話と、最終話だ。思いをのせた「継承」のバトンは、視聴者も巻き込みながら、競馬の世界を越えて受け渡されていくだろう。














