“どうせギャンブル”にカウンター 「人間の生き方」描く競馬小説に

ドラマは、妻夫木聡さん演じる主人公の栗須栄治が、人材派遣会社ロイヤルヒューマンの社長で佐藤浩市さん演じる馬主・山王耕造に仕える秘書兼レーシングマネージャーとして奔走。現在までに第6話までが放送され、華やかなレースの裏にある膨大な努力や情熱、競走馬と人間との絆を描き、これまで競馬を知らなかった視聴者も共感できる“生き方の物語”として、評価されている。

競馬という枠を超え、人が人に思いを託す姿を、早見さんはどのように描こうとしたのか。

「小説を書く前は、『キレイ事を言っても、競馬なんてどうせギャンブル』という声はあるだろうな」と想像していたと明かす一方で、そうした声があるだろうからこそ「1頭の馬にかける人間たちの思いをちゃんと綴れば、それがカウンターになり得るとも思った」と、“人”にフォーカスを当てることに決めた。

ギャンブルやスポーツとしての側面にとどまらない、「人間の生き方としての側面」を浮き彫りにする、そんな競馬小説を、早見さんならではの取材力や深い洞察力、巧みなストーリーテリングで描き上げ、幅広い読者から支持を集めてきた。

「“人馬一体”ではないですが、人と馬は共存・共栄しなければ、今日まで繁栄してこなかった。サラブレッドと、ホースマンたちの関係性をちゃんと綴れたら、読者は付いてきてくれると信じて書きました」