「海側からしか放水できなかったのでは」消火活動しにくい地形

 ―――炎が燃え広がりやすく消火活動がしにくい「住宅密集地」で起こったことも、火災の大規模化・長期化の要因になったということですね?

 (田中章氏)
 「木造密集地域ですので、非常に燃えやすい建物が多かったと思います。火災があったのは、半島のように海に突き出ている場所です。住宅街に入ると道路が狭く、消防車両がなかなか入れません。そのため、海側からしか放水ができなかったのではないかと思います。また、傾斜が非常に厳しい山もありますので、風向きが変わって火災が拡大したのではないかと思われます」
 
「さらに、消防車両は消火栓や防火水槽などから取水して消火活動を行うため、海に面しているからといって、なかなか海から給水することはできません。平坦な場所の火災ですと、火災が発生した地点を360度取り囲むように消防車両で埋め尽くしてホースを伸ばし、『これ以上広がらない』という範囲の中で消火を進めます。しかし、今回の現場は海に面した沿岸部で、すぐ後ろには山がありますので、一方向からの消火活動しかできなかったと考えられます」