大分市佐賀関で発生した大規模火災では170棟以上が延焼し、一夜明けた今も鎮火に至っていません。県は自衛隊に災害派遣を要請しました。

大規模な火災が発生した大分市佐賀関です。発生から17時間が経過しましたが、依然として現場からは白い煙が上がっていて、鎮火には至っていません。現場では、消防団などによる消火活動が夜通し続いています。

けさも早くから応援に駆けつけた消防車両が港沿いの道路に並んでいます。ただ、地元の人によりますと、火災現場は車が1台通れるかどうかという狭い道路状況のため、思うように消火活動が進んでいません。

地元の消防団の人に話を聞きますと「火災現場は建物が燃え落ちて、全く残っていない状況だ。言葉がない」と話していました。

記者
「佐賀関の住宅が密集しているエリアで火が上がっています。火が収まる気配がありません」

住宅から激しく燃え上がる炎。夜空は炎と煙で赤く染まりました。きのう午後5時45分ごろ、大分市佐賀関で「家が燃えている」と周辺住民から通報がありました。当時、市内には強風注意報が発表され、火は瞬く間に周囲の建物に燃え広がりました。

住民
「すごかったよ」
「(Q.勢いが強かったですよね?)強かった。風が一番悪い時が、きょうね」

この火事で、住宅や空き家など170棟以上が延焼し、隣接する山にも燃え移りました。

県などによりますと、現場に住む稲垣清さん(76)と連絡が取れなくなっているほか、50代の女性がのどに軽いやけどをして病院に搬送されました。

記者
「火災発生から14時間が経ちましたが、まだ火は消えていません。消火活動が続けられていますが、あちこちから煙が上がっています」

大規模火災発生から一夜明け、現場一帯は焼け落ちた建物が広がっているのが確認出来ます。

消防庁によりますと、焼失面積はこれまでにおよそ4万8900平方メートルにのぼっているということです。

住民
「炎が連鎖のように燃えていった。家行ってみないと分からないけど、無いだろうな」
「もう手のつけようがない」

佐賀関市民センターには避難所が開設され、最大125世帯188人が不安な一夜を過ごしました。

避難した住民
「心細い一夜を過ごしました」
「危ないから逃げてくださいと言われて、何も持ち出せなかったです」
「初めての経験で、落ち着いて寝られなかったです」

記者
「佐賀関で起きた大規模火災に伴い、県ではこれから災害対策本部会議が開かれます」

県は災害対策本部を設置して、災害救助法の適用を決定。きょう午前9時に自衛隊に災害派遣を要請しました。火災発生から18時間以上が経ちましたが、現在も鎮火には至っておらず、県や熊本県の防災ヘリのほか自衛隊のヘリも出動し、懸命な消火活動が続けられています。

被害が拡大した要因のひとつは、「海沿いの強い風」とみられます。現在は昨夜より弱くなっていますが、この時間もやや強い風が吹いています。現場から上がる白い煙も左から右に流されています。この風に乗った火の粉が、後ろにある岬の森林に飛び火しました。そして、岬の森が焼け、森林火災が発生しています。けさは大分県や福岡県の防災ヘリが空からの消火活動を行っているところです。

さらに、沖合から1キロ以上離れた無人島の中腹からも白い煙が上がっています。火災が広範囲に広がっていることを物語っています。

火災発生からまもなく18時間を迎えますが、依然として鎮火のめどは立っていません。