竜巻による甚大な被害をもたらした2025年9月の台風15号では、猛烈な雨による災害も発生しました。大雨による危険性は予測できたのか。また、被害を防ぐにはどうしたら良いのか、考えます。
2025年9月の台風15号。静岡県内では竜巻による深刻な被害が発生しました。また竜巻の原因となった活発な積乱雲は各地に猛烈な雨も降らせました。
11月上旬、大阪で開かれた災害情報に関する研究発表会で、静岡大学の牛山素行教授は台風15号による大雨に注目し、当時に出されていた気象情報と被害の関係性を分析しました。
<静岡大学防災総合センター 牛山素行教授>
「竜巻の人的被害のほかに、浜松市で80代男性が水路に流された可能性がある」
<金國記者(9月5日)>
「80代の男性が水路に転落したのではないかという通報があり、警察と消防が捜索活動を続けています」
災害との関連性は調査中ですが、男性は翌日見つかり、死亡が確認されました。
<牛山教授>
「この水路はまわりを全部柵で囲われていて、橋もかかっているけれど、まわりには越水した痕跡がありませんので、洪水ではないですね。川に接近して被災された方ということになります」
牛山教授によると男性が流されたとみられる時間帯、気象庁の危険度分布「キキクル」では洪水については5段階中レベル2相当の「注意」で、それほど激しい気象情報が出ていた段階ではありませんでした。
<神谷カメラマン(9月6日)>
「静岡空港の駐車場です。手前の色が変わっているところ、土が変色している所が水没した車が置いてあった場所だと思われます」
台風15号により静岡空港では1時間に113ミリという猛烈な雨を観測。駐車場の一部が冠水し車が水没しました。山の上にある空港の駐車場がなぜ、水に浸かったのか。その理由は局所的な地形にありました。
<牛山教授>
「局所的な地形を見てみますと確かに青いところはまわりに比べて低い訳です。2メートルぐらい下がっている、駐車場全体で。局所的にへこんでいるところが浸水した。ただ、この時は気象情報は一応間に合っていて、浸水キキクルは3ですし、洪水キキクルは30分以上前に3を出していますから、適切な値を示していたなと思いました」
しかし、30分の猶予では飛行機の利用者が車を動かすことはできませんでした。
台風15号では静岡市内でも大雨が降り、市内の道路のアンダーパスでは計測機器がついている18か所のうち10か所が浸水しました。
<牛山教授>
「これは一番深く浸水したところですけれど、浸水キキクルは浸水開始時は2(注意)で最大のピーク時でも(警戒)でありました」
気象庁の危険度分布で5段階中レベル4相当の「危険」となっていたアンダーパスもありましたが、全体で見ると多くの地点がレベル2相当の「注意」でした。
<牛山教授>
「アンダーパスは人工的な地形なので、キキクルでアンダーパスの危険性をそれなりに警告できるかというと、ちょっとそれはきつい面があるかな」
<牛山教授>
Q. 今回取り上げた事例はいずれも、なかなかキキクルでは防ぐのが難しいと思うが、この被害を無くしていくには、どんな方法があるのか?
「起こった場所としてはそんな不思議な所で起こっている訳ではないので、やっぱりハザードマップ的な情報は重要だなと。浸水想定区域の中かどうかというと、地形的に見ると低地で洪水の可能性がある場所。
だから防ぐことはできないけれど、どこでそういうことが起きそうかというのは、周知を進めていけば効果があるんじゃないかなと」
今回の台風15号のように急速に天気が変わる状況では防災情報のリードタイムがなかなか取れない場合があります。
大雨が予想されるときは、ハザードマップなどでその土地のリスクをあらかじめ知っておくことが大切です。














