太陽系から離れていく「3I/ATLAS」 次はJuice探査機が観測中

現在、ESAの木星氷衛星探査機(Juice)が「3I/ATLAS」の観測を続けています。太陽最接近後の、より活発な状態の彗星を観測できる貴重な機会となっています。

「3I/ATLAS」の軌道(白い矢印)11月25日には紫⑤の位置へ Juiceが観測を続ける

恒星間天体の特異な組成

3I/ATLASは、これまでの観測から太陽系の彗星とは大きく異なる特徴を持つことが判明しています。特に水に対する二酸化炭素の比率が、太陽系の彗星の約63倍と異常に高く、表面に分厚い「二酸化炭素の氷の殻」を持つ可能性が指摘されています。

「3I/ATLAS」の外殻と内部の模式図“Interstellar Comet 3I/ATLAS: Evidence for Galactic Cosmic Ray Processing”より Romain Maggiolo, Frederik Dhooghe,Guillaume P. Gronoff, Johan de Keyser, Gael Cessateur

この特異な構造は、数十億年にわたって宇宙を漂う間に「銀河宇宙線」によって表面が変質した結果と考えられていて、その内部にははるか遠い宇宙の原始的な状態が隠されている可能性があると分析されています。

今後のJuiceによる観測で、さらに新たな発見が得られるか注目されます。