精度向上のカギ 両目で見るのと同じ「三角測量」って?
今回の精度向上のカギは、三角測量にあります。
三角測量は、2つの地点からある一点を見たときの角度を分析して、正確な距離を計算する方法で、人間が左目と右目の2つの視点で奥行きを感じるのと同じ仕組みです。
「火星周回軌道にある探査機」という地球から大きく離れた第二の視点から観測することで、地球上の観測データとの間に、大きな角度の差(視差)が生まれました。
この二つの視点を組み合わせた三角測量で、奥行き方向の誤差が大幅に縮小し、軌道予測の精度が飛躍的に向上しました。
地球防衛のための「リハーサル」に
ESAの研究チームは「結果は当初の予想に比べて10倍の精度向上となり驚きました」としています。
その上で「3I/ATLASは地球に危険をもたらすものではありませんが、今回の観測は、地球防衛のための貴重な“リハーサル”となりました。」と述べています。
ESAの研究チームは、「このデータ取得は簡単ではありませんでした。火星探査機は本来、火星表面の高解像度観測用に設計されています。今回は、この機器を宇宙空間に向け、暗く小さな3I/ATLASを捉えるという難しい観測に挑戦しました。」とその意義を強調しています。














