地球を笑顔にするウィーク、シリーズSDGsです。闘病中の子どもたちを支える犬「ファシリティドッグ」をご存じでしょうか。心のケアをしたり、前向きに治療に取り組む手助けをしたり、その効果に期待が高まっています。

静岡県立こども病院。15歳までの子どもの治療を中心に行っていて、がんや心臓病など高度な専門的医療を必要とする子どもたちが多く入院しています。

「タイです。こんにちは」

ここで働く一頭の犬、ゴールデン・レトリバーのタイです。闘病中の子どもたちを支える「ファシリティドッグ」と呼ばれる犬です。

「ファシリティドッグ」は特定の病院に所属し、「ハンドラー」と呼ばれる看護師などとペアで、入院している子どもたちと遊んだり、寄り添ったりして、心のケアをするのが主な仕事です。

白血病で通院
「注射とかしてくれるときに、タイちゃんが来て、見守ってくれる。勇気を分けてくれる」
手術後のリハビリ
「隣にいてくれたり、触ったり。いつもよりかは痛みがまぎれる」

子どもたちの癒しになるだけでなく、検査や注射などにも付き添い、不安を和らげることで、治療をスムーズにする役目なども担っています。

看護師 加藤由香さん
「みんなが嫌がる検査をベイリー(ファシリティドッグ)と一緒だったらあと100回やってもいいと言った子がいて、わたしだったらそんな言葉言わせられない。小児医療を考えると、ファシリティドッグがいないのはありえない」

しかし、この「ファシリティドッグ」、国内ではまだ6頭しか導入されておらず、西日本には1頭もいません。

普及を阻む大きな要因になっているのが、導入でおよそ2000万円、維持費として年間1000万円ほどかかる費用です。

そんななか、ファシリティドッグの導入に向けて動き出した病院が関西に現れました。兵庫県立こども病院です。

この日は、ドッグトレーナーが病院を訪れ、ファシリティドッグを迎え入れる環境のチェックをします。

医師
「おしっこするときはどこか区画を決めるんですか」
ドッグトレーナー
「基本的には患者さんに見えないほうが良い」

課題だった費用は、クラウドファンディングで寄付を募りました。開始11日で目標金額を達成し、最終的には4500万円が集まりました。

兵庫県立こども病院 飯島一誠 院長
「神戸のいろいろな商店街の人とかも応援してくれて、本当にありがたい。クラウドファンディング、やってよかった。なんとか頑張って早めに導入したい」

今後は、病院内での研修や環境の整備、犬とハンドラーの育成などを行い、再来年4月までの導入を目指しています。