シリーズSDGs、地球を笑顔にするウィークです。福祉施設を回りながら演奏会を開いているNPO法人が仙台市にあります。運営するのは、自身も交通事故に遭い、車いす生活を続ける男性です。

今年6月、宮城県内の障害者支援施設で開かれた演奏会。披露したのはNPO法人「音楽のチカラ」です。障害や高齢などの理由で外出が難しい人たちに「生の音楽」を届けています。

一体となった会場を見守るのは、理事長の早坂茂仁さん(46)です。

音楽のチカラ 理事長 早坂茂仁さん
「音楽が心に届いたとき、お互い言葉がいらない状態になって、心が震える瞬間がすごく見える」

小中学校でも吹奏楽部に入るなど音楽が大好きだった早坂さん。しかし、8年前、事故に巻き込まれます。

音楽のチカラ 理事長 早坂茂仁さん
「私がバイクに乗っていて、確認を怠った車が私に突っ込んできた」

下半身に麻痺が残り、車いす生活に。

音楽のチカラ 理事長 早坂茂仁さん
「事故に遭って、とても孤独を感じた。世界と引き離される感じがして」

おととし、再び音楽を聴こうとコンサートに行ったとき、障害のあるほかの観客たちの姿に心を動かされました。

音楽のチカラ 理事長 早坂茂仁さん
「障害の特性で声が出てしまう。体が動いてしまうって方がたくさんいらっしゃって、普通に音楽を楽しむのが難しいと思ったときにお届けしようと」

そして今年1月、仙台で「音楽のチカラ」を設立。プロの音楽家と一緒に特別支援学校や高齢者施設を回り、演奏会を開いています。

ここ1年ほどで車の運転もできるようになりました。ハンドルやウインカーは右手、アクセルとブレーキは左手で操作しています。

この日、打ち合わせで訪れたのは、子どもホスピスの設立を目指す仙台のNPO法人です。重い病気を抱える子どもと保護者に向けて演奏会を開く予定です。

演奏を聴いた人
「楽しかった。来年も来てください」
「歌が楽しかった。にこにこな気持ちになる」

「すべての人に音楽を」。早坂さんの目標は音楽のチカラの活動を全国に広げることです。

音楽のチカラ 理事長 早坂茂仁さん
「音楽って翻訳もいらないし、説明もいらなくて、言葉がしゃべれないとしても、どんな状態でも、魂と魂を繋いでくれる時間。音楽によって、みんながお互い支えあうようなあたたかい社会を目指したい」