乾燥汚泥を燃料や堆肥に100%リサイクル

下水道バイオマスエネルギー利活用施設は、バイオマス発電とともに、下水汚泥とコーヒーかすを100%リサイクルできることでも、環境に貢献している。

バイオガスを取り出した下水汚泥とコーヒーかすの混ざり合った消化汚泥は、脱水機にかけられる。

汚泥の脱水機

ここで水分を約81%に落とした汚泥を、さらに乾燥機に入れる。この乾燥機の燃料は、メタン発酵槽から取り出したバイオガスのため、化石燃料は使用していない。

乾燥機を通して、水分含有率が約42%の乾燥汚泥が出来上がる。水分が抜けることで、汚泥の量は半分近くにまで減少する。乾燥した汚泥は匂いも弱く、触っても問題はない。

出来上がった乾燥汚泥

乾燥汚泥は石炭の3分の2程度のカロリーがあり燃料として利用できることから、高岡市にある製紙工場の中越パルプ工業で、バイオマス発電の燃料として利用されている。二酸化炭素排出量が削減されるメリットがあるという。

また、乾燥汚泥はそのまま肥料としても利用できる。堆肥の原料として業者に引き取ってもらっているほか、市民にも無償で配布している。施設ができる前は処分に困っていた下水汚泥を、化石燃料を使うことなく、燃料や肥料として丸ごとリサイクルできるようになったのだ。

バイオガス発電や下水汚泥の100%リサイクルができる下水道処理施設があるのは、全国で黒部市だけだ。今後も市民に「コーヒーかすは下水へ」と呼びかけることで、下水汚泥を資源に変えていく。

(「調査情報デジタル」編集部)

【調査情報デジタル】
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