ネット空間が“デマの戦場”に
2013年のネット選挙の解禁以来、SNSの活用はどんな選挙でも必須の手法になっている。今回の知事選でも、それぞれの陣営がXやInstagram、ThreadsといったSNSで有権者への支持を呼び掛けた。
しかし私たちは、今回の選挙におけるSNS上の投稿が、これまでの選挙とは全く違うことに気が付いた。宮城県知事選についての投稿やコメントは、「国賊」「売国奴」「土葬野郎」などといった、村井氏を罵る口汚い言葉に埋め尽くされた。
SNS上に拡散された「村井嘉浩の悪行14選」と銘打った画像には、「メガソーラー大歓迎」「宮城県をザンビアのホームタウンに」などといった、村井氏の公約にはない、あるいは事実と異なる主張が書いてある。
誹謗中傷の矛先は、本人だけではなく周囲にも向けられた。ある自民党会派の県議は、村井氏を応援する投稿を行ったところ、「妻と孫を移民にレイプしてもらって」などと返信された。
同じ会派のある県議は、村井氏が首まで土に埋まり、「お前が土葬されろ」と書かれた画像を送り付けられた。AIで作ったとみられる。
誹謗中傷やデマが飛び交うこうした状況に異を唱えたある県議には、批判コメントが集中した。この県議は、村井氏を支援していない、立憲民主党の所属議員だ。
村井氏を少しでも擁護した者は、その立場に関わらず、SNS上の「見えない敵」から猛烈な攻撃を受けたのだった。
有権者の中には主にSNSから情報を得る人もいるし、村井県政のこれまでを全く知らない人だっている。そんな人たちが、SNS上のこうした状況を目の当たりにしたら、何が真実なのか分からないのではないか。
こうした危機感は現実のものになった。選挙戦中盤、ネット空間のデマや誹謗中傷が、選挙戦の現場にまで浸食し始めたのだ。














