北陸を代表する名湯・和倉温泉も能登半島地震の被害を受けてから2年の月日が経ちました。2025年11月、和倉温泉で最も長い創業220年の歴史を持つ老舗旅館・美湾荘も営業を再開。しかし今年は新たな課題に直面する年になりそうです。

「無い物だらけ!」従業員一丸で乗り切った再開初日

美湾荘・女将 多田直未さん
「すごい。めっちゃ海見える!もう玄関がなくなって…奥まで車を屋根の下に停められるようにして、お客さんが濡れないように荷物を降ろしたりできるようにしようと」

和倉温泉の美湾荘。2025年11月、3棟あった建物のうち西側にある建物の修復が進み、半露天風呂付きの客室5部屋で営業を再開しました。

Q. 着物姿はいつ以来?
「2年ぶりくらいになる。苦しいのと…でもスイッチが入った感じがしてきりっとする」

これまで復興関係の業者のみ宿泊していましたが、地震のあと初めての一般客を出迎えます。

東京から訪れた夫婦
「テレビの報道で女将さん一生懸命ね、説明しているのを見て大変だなと思って」

初日は4組の宿泊客を受け入れ、1年10か月ぶりに湯けむりが戻ってきました。

館内のレストランの予約時間が近づくにつれ、厨房は慌ただしさを増します。

「サラダバーがあるけどそれをつかむやつが無い。やばい!」

思いのほか準備に手間取ります。

客室係・みきさん
「無いものだらけ。大変、オープン初日は」

営業再開にあわせて女将こだわりの新メニューも登場。

多田さん
「(締めは)カニご飯にしようかなという話だったけど、ちょっとつまらん…(笑)焼きおにぎりにのどぐろに身を焼いたのをのせたものに。料理はお洒落じゃないとダメ、つまらないのはダメ…美味しくないとダメ。色々注文しています」

調理長「(女将に言われたら)はい、としか言いようがない」

初日に宿泊した東京からの夫婦。11月は夫婦ふたりの誕生月、そして結婚55周年を迎え、妻から預かっていたサプライズケーキの登場です。

妻「最高です」
夫「びっくりしちゃったよ。有名人でも来るのと思っちゃった」

客室係・みきさん
Q. 夫婦は“最高だ”と言っていたが?
「それはよかった。お客様が気持ちよく召し上がってもらうのが私たちの一番の喜び」

一朝一夕では培えないノウハウとチームワークで、再開初日を乗り切りました。